第6章-赤い花には棘がある-
「は? あんたには関係ないでしょ……黙ってなよ」
それは『仲間』を見る目ではなく『敵意』を現している目
それにリクが少し動揺するが、怯える事なく話す。
「あいつの何かを知っているのか? それで近寄ろうとでも?」
「別にスティナお姉様の事は何も知らないわよ」
「じゃあどうしてそこまで入れ込む……まだ1日もいないんだぜ」
ミヤは飽きれた顔をしながらリクの肩を叩きながら言う。
「お子様にはわからない、お姉様の可愛さは」
「てめぇ……いい加減にしろよ」
リクはミヤの態度に怒り、肩にあったミヤの手を払いのけ、左手を伸ばし
ミヤに拳を向け言う、それをミヤは真面目な顔でリクに言う。
「ケンカ売る気? 別にいいけどさ、簡単には死なないでよ?」
『ミヤ・ステイラー』
呪われた御旗結成時からいるメンバーであり、強さにして戦闘部隊のリーダー
に当たるハンナと同格、年齢は15歳と若いが、幼い時より暗殺を学んでおり
ミヤが昔いた場所では『ブラッディドレス』と言われていた。
その名はミヤが来ているワンピースがピンクではなく真っ赤に染まる時がある
それは殺した者も返り血とも言われ、ワンピースの正式名所は
『ワンピースドレス』と言われているため、『血』と『ドレス』を合わせて
『ブラッディドレス』となった。
「俺を舐めるのも対外に……!」
リクがミヤを掴もうと左手を伸ばすがミヤは160cmの身長と軽い体を活かし
リクの右肩を掴むと体を浮かし、リクの頭上を飛び越え、後ろに側に回り込む
その後、リクの右足を払うとリクは耐性を崩す……それに追い打ちをかけるように
左足でリクの背中を蹴り飛ばし転ばせる。
「……はぁ、これだから猪は嫌いなのよ、猪突猛進だっけ?」
「てめぇ……その足をどけろ」
ミヤは前受け身のように倒れているリクの背中を左足で踏んだまま喋る。
「嫌よ、私とお姉様の邪魔をするなら殺してあげる」
「邪魔をするも何も、スティナに戦い方を教えるのはハンナだぞ」
「……は? もう一度いいなさい」
「だ・か・ら、あいつに賊の戦い方を教えるのはハンナ」
「誰がそれを決めたのよ……そいつ潰してくる」
そこでリクは考える……
たしかにスティナに戦い方を教えるのはハンナで決定している
それを決めたのは昨日の歓迎会でハンナがスティナと一番喋っていたため
こいつ(ミヤ)がスティナを気に言ったのはその後
だが……それを言うとハンナにミヤが喧嘩を吹っかけ大変な事になる
ならばここは『あいつ』のせいにしよう。
「決めたのはリドラーだよ、彼奴が昨日決めた」
「チッ、リドラーならしかたないか……その変わり、他は私がお世話するから」
「いいんじゃないか? それとさっさと足をどけろ」
「はいはい、まぁ……今すぐ叩きつぶ」
そこまでミヤが喋りった時、少し黙ってリクから距離を取る
あまりの事でリクが少し動揺していると……スティナがやってくる。
「ミヤ、中々こないから心配で探しにきちゃった」
「スティナお姉様! ごめんなさいですー、リクさんが転んで助けていました」
「おい……てめぇがころ」
リクがそれをミヤに言おうとした時、ミヤは助けるフリをして
リクの喉元に手をやるとスティナに聴こえないように小さな声で言う。
「もし言ったら首を跳ねる……わかったかな?」
ミヤは笑顔でそれを言っているが『120%本気で殺ってくる目』で
リクは黙ってその場を合わせる事にした。
「ミ、ミヤ……悪いな、た、助かった」
「んーん、困った時はお互いさまですよー、リクさん気を付けてくださいね!
さて、お姉様……お待たせしたので食堂にいきましょー!」
「うん、行こう……あ、リクさん、大丈夫ですか?」
「……あ、ああ、問題ない」
「リクさん大丈夫そうなので行きましょう、お姉様お腹すきましたよね?」
ミヤのその言葉はスティナに対する物でリクにはこう聴こえる。
『お前の心配する時間がもったいないから、さっさと行こう』と。
リクの聴き間違えかと思い、2人に続き食堂へ向かう事にした
向かいながらリクは1つ心に決めた事があった。
『ミヤとこいつ……スティナに関わると碌な事がない』と
心に決めたリクである。