第130話-親子喧嘩-
スティナ達が服を買いハンナの家まで歩いている頃より前の昼時
ハンナは母親であるフィルナに呼ばれ、フィルナの部屋に行く
するとフィルナは笑顔でハンナに言う
「いいかしら? 今日からあなたは『ドレス』を着てもらいます
そんな服……さっさと脱ぎなさい」
「お断りします」
ハンナも笑顔でフィルナにそう言い返すとお互い笑顔のまま
その場を動かす……目線だけでお互いが戦っているように見える
そんな状況の中、フィルナの背後からミヤが声をかける
「……で、ハンナにドレスを着せるのはあんたの我儘?
それとも、家のために?」
「あなた……一体どこから入って来たの?! 人の部屋に勝手に入って!」
「お母様、ミヤは私と一緒にこの部屋にきましたよ
お母様が『気づかなかった』だけだと思いますが……」
「……そんなことはないわ」
フィルナは悔しそうな顔をしながら小さな声でそれを言うが
ミヤ自身『ハイド』の状態で部屋に侵入しているので気づかれないのも
無理はないが、ハンナが言っていた『一緒に』の部分は間違っていない
ようはフィルナがハンナの言葉に惑わされただけである
「そこまで言うならいいでしょう、ハンナ、あなたが私に勝てたら
そうね……ドレスの事はやめにしましょう」
「……おばさん、それはドレスだけでしょ、大の大人にしては
随分と自信がないというか貴族に思われない言い方ですね」
ミヤはまるで挑発するようにフィルナに言うとフィルナはムカついた顔で
ミヤを見ながら声を荒げながら言う
「あ、あなた! これは私の家……アスミル家だけの事よ!
部外者は口を挟まないでちょうだい!」
「部外者って自分が図星を付かれたからってすぐに『大人の事情』
を口にだすとか……ハンナ、あなたの母親は残念ね」
「……そう言うな、一応私の母親だ、それぐらいで許してやれ」
「許すって……あなたは一体誰の味方なの?!」
「私ですか? 私はミヤの味方です、それにスティナとエステも
あなたよりは短い期間ですが、あの子達とミヤのほうが信頼できます」
「……わかったわ、それなら試合をしましょう、こっちが負けたら
これ以上何も言いません、ただし……こちらが勝ったらハンナ
あなたは結婚してもらいます、いいですね」
「はい、構いませんよ」
「それならそちらは信頼できる4人できなさい、こちらも4人用意するわ」
「わかりました」
ハンナがそう言うとフィルナは笑顔で自分の部屋を後にして廊下を
足早に歩いていく……そして足音が消えた頃、ミヤはハンナに質問する
「いいの? あんな約束して、どうせ向こうは金に物を言わせて
強い連中を連れてくるんでしょ?」
「なんだ、ミヤ……よくわかってるじゃないか、きっとその通りだよ
でも……私達がそんな簡単に負けるわけないだろ?」
「随分と過大評価しちゃって……負けても知らないわよ」
「ははは、大丈夫、きっと負けないさ」
「そっ……なら負けないように頑張るだけね」
ミヤは苦笑しながらハンナにそう言うとフィルナの部屋をでてハンナの部屋に
戻る……そしてその数時間後……外が夕方になる頃にフィルナがハンナの部屋に
笑顔で入って来て声をかける