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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第16章-武器に込められた思い-
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第127話-価値観の違い-

試着室から出て来たスティナの服装は……エステそしてアスクから見ても

凄く似合っており、可愛い女の子と言った感じを醸し出させる


「ど、どうですか? こんな可愛いの着た事なくて……」


スティナはどこか落ち着かない表情で首を後ろに向け体を横に振る

その光景は普段のスティナなら、エステも動揺はしないのだが

今のスティナから目を離せないでいるエステである

そんなエステに気づいたのか、フィリシアは何個かの服をハンガーから取り

試着室に向かう、そして試着室の中に入るとスティナを呼ぶ


「スティナちゃん、私も試したい服があるの手伝って」


「あ、はい、手伝いますね」


スティナとフィリシアはまた試着室の中に入りカーテンを閉めた直後

アスクが肘でエステの肩を叩きながらニヤケ顔で喋る


「今のスティナちゃん可愛いかったよな、ぜひ私に欲しい」


「あげない、って言うかアスクにスティナをあげたら旅が終わっちまう」


「旅? スティナちゃんは何か目的があって旅をしてるのか?」


「……そうだよ、まぁ、スティナに付いてきていろいろな体験できてるから

 俺も儲け物してる気分だよ」


「そうか、それならよかったな……私ももう少し若かったら旅に付いて行った

 んだがな……今は保護者にしても付いてくのは厳しいかもな」


「……! それならアスク、1つ頼みを聴いてくれないか?」


「……? なんだ? 俺に出来る事なら手伝うが」


「一緒に旅をしてる仲間にハンナがいる、今、ハンナの家に世話になってるんだが

 ハンナの母親……アスクの妻がハンナにお見合いをさせようとしてるんだよ」


「あー……またか、まったくアイツは……ハンナはお見合いと言うと逃げ出すし

 中々にお嬢様ではなく、やんちゃだからな……フィルナには荷が重い」


「だから、夫であるアスクさんになんとかしてもらいたいんだよ」


「無理だな、私の顔すら覚えてるのか怪しい状態なのに説得もないな

 それにフィルナはああ見えて、レイピアの師範クラスの実力者だ」


「……すごいな、まさか……ハンナが強いのはそのせいか?」


「さぁな、先生が付いて教えてた時もあったが、基本的にハンナは我流

 のほうが向いててな、1人で勝手にやらせたほうが成長するのさ」


「……さすがハンナさんだぜ」


2人がそんな会話していると試着室からフィリシアのみが出てくる

その姿はドレスではなく、純白のワンピース、腰部分に黒い刺繍があり

上品な感じを引き出してるように見える、そんなフィリシアがエステの前まで

来ると、一回転しエステに言う


「どう? 似合ってる?」


「似合ってると思うぞ?」


「本当に?」


「ああ、だけどなんというか……もっとこうだな、スティナの最初みたいな

 恰好のほうが似合うと思うぞ?」


「最初? ああ、あの手縫いのようなワンピーストップスにミニスカート?

 あれはちょっと貧相な感じがすると思うんだけど」


「ならやめとけよ、お嬢様には『どうせ』似合わないからな」


それを聴いたフィリシアはほうをふくらませ試着室の中に走って行ってしまう

それを見たアスクはエステに溜息まじりに話かける


「お前なぁ……あの言い方は可愛そうだぞ? フィリシアだって美人なんだから」


「……スティナの服装を貧相と言ったんだ、それは許せない

 あの服にスティナがどれだけ愛着があったか知らないで言う事じゃないな」


「愛着? お前はそんなに長くスティナちゃんといたのか?」


「まぁ、他の仲間よりは短いけど、たまにスティナ自身が夜こっそり

 ほずれた場所を剣で直してたりするのを見てるしな、正直な所

 手付きが危なくて止めようとは思ったが……」


「お前さんはスティナちゃんの事をよく見てるんだな?」


「え? ああ、大事な護衛対象だし、それにほっとけないのさ

 なんでも一生懸命で時に何かをやらかすあの子がな」


「なるほど……」


アスクはそこで1つの事に気づく、それはエステがスティナに向けてる感情は

たしかに少しは恋愛みたいな物があるかもしれないが、その大半は『妹』みたいな

感じなのだ、だから先程スティナの服にたいする言葉に怒って対応したのも

頷ける、もちろん……フィリシアがエステに惚れているのは目に見えてわかるの

だが、スティナが鈍感すぎてそれに気づかず、エステも同じように疎いのか

それに気づく事がないあたり……フィリシアの前途多難な戦いは続くのだろう


「エステ、次にスティナちゃんが出て着たらお前さんの服を選んでもらいな」


「え? ああ、そのためにフィリシアに連れて来られたんだが

 どうしてスティナに頼むんだ?」


「いや、なんとなくだ、お前さんはスティナちゃんに選んでもらった服なら

 喜んでなんでも着そうだしな」


「……そうかもな」


そしてフィリシアが再度試着室から出て着た時は、トップスに赤い色の長袖

下は白のミニスカートをはいている、着慣れないのか少しモジモジしながら

エステに近寄り、恥ずかしそうに聴く


「ど……どう? 似合ってる?」


「ああ、似合ってると思う、その方がフィリシアらしいじゃないか?」


「本当?! じゃあこれ買う」


しかしエステはその上下の服の値段が張ってある紙の部分の見ると驚く

赤色のトップスは『15,000』、下のミニスカートは『22,000』

別にエステが払うわけではないが、高級な品物なのはわかる

それが気になりエステはアスクに小さな声で聴く


「この店は高級店なのか?」


「さぁ? まぁ……あの程度の値段じゃ貴族連中は安いと思うだろうよ

 特にフィリシアの最初に着てたオーダーメイド製のドレスは十万単位だろうし」


『俺の服は安めの物にしよう……しかし、スティナの服はアスクが買うとして

 ミヤの服はスティナ……俺の所持金は『5,000』、絶望的だな』


そう思いながらエステは1人、ハンガーに掛かっている男物の服の値段を見ながら

睨めっこを始める


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