表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/190

第120話-スティナとフィリシアの決着-

「これで一撃……次いきます!」


スティナはそう言うと、またフィリシアの武器に向かって連撃を繰り返すが

フィリシアはスティナの考えに付いて行けず

そのままスティナの攻撃を防ぎ、弾き……それを繰り返す

フィリシアから見たスティナの攻撃に隙はないが時たま変な攻撃を加える

それは足休みかもしれないが、あきらかに『無駄な攻撃』にも見える


『何……なんなの……スティナちゃんは一体何がしたいの……』


フィリシアの考えとはうらはらにスティナは連撃を繰り返す

一発当てたら左右どちらかに体を動かすか、頭上を飛び越えて行く

フィリシアは何度かスティナの動きを止めて行くうちにスティナの動きを

理解してきたのだが……問題は先程のスティナが言った『繋がる』

それがフィリシアの頭から離れずにいた


「そろそろやめてくれないかしら?! もう……おしまいにしましょう!」


「そうですね、そろそろ……」


スティナはフィリシアに斬りかかるとそれをフィリシアはレイピアで防ぐ

そこからスティナは頭上を飛び越える……それを読んだフィリシアは

レイピアを頭上に突きあげるが、そこにスティナはいない


「……何度も同じ事はしません、フィリシアさん、ちゃんと防いでくださいね!」


「っ!」


スティナはその場で踊るようにフィリシアのレイピアに向かって3連撃を入れる

上段、中段、上段……そして剣を両手で持ち、レイピアに思いっきり斬りかかる


『これを防いだらカウンターで剣を折る』


そう決めたフィリシアはスティナの最後の一撃を防ぐために態勢を整える

そして、スティナの一撃をフィリシアのレイピアが防いだ瞬間

フィリシアのレイピアは綺麗にスティナの剣によって斬られ

レイピアの上半分が音をたてて地面に落ちる


「嘘……どうして……」


レイピアが斬られた事に驚きを隠せないフィリシアと剣を振り切ったスティナ

それは誰からどうみてもその一撃でスティナはレイピアを斬れるのが確信した

ように見えた一撃である


「スティナちゃん……どうしてわかったの?」


「フィリシアさんは気づかなかったです? ずっと同じ場所を攻撃してたのを」


「あの状態でまさか……そんな事を……していたの?!」


「はい、それじゃないと折れる気がしなかったので……」


「でも私だって武器を動かしていた……どうやってそこまで……」


「だからある程度、連続をやめてその場で攻撃をしていました

 それでフィリシアさんが武器を動かすのを止めてくれるから」


「じゃあ『繋がる』ってどういう意味なの? 教えてくれない?」


「私がフィリシアさんの模倣をした時からフィリシアさんに攻撃した回数

 その数は『25回』です」


「25回? それが一体……! ま、まさか私の連撃の丁度半分を……」


「はい、やってみましたっ」


スティナの嬉しそうな笑顔でそうフィリシアに答えた時

フィリシアの毒気が抜けたのか……その場に大の字に倒れ大声で笑う


「あははは……スティナちゃんって凄い……本当に凄い」


その光景を見ながらスティナはフィリシアの頭側にしゃがみ話かける


「私は凄くないですよ、フィリシアさんが凄い技を見せてくれたから……」


「私が見せなければ……まだ楽しめたって事なの?」


「どうでしょ? それはわかりません……」


「そうね、それがわかってしまったら戦いは楽しくなくなっちゃうしね」


「かもしれないですね……」


そこまで2人が話をした所で、観客席から降りて来て、スティナに話かける


「スティナちゃん、おめでとう、実に面白い物を見せてもらった

 まさか……模倣を見せてくれるとは……驚きだ」


「ああ、俺も驚いたよ……スティナは伸びる速度が計り知れないな

 いつか……俺も抜かされてしまうかもな」


「そんな事はないと思いますよ?」


スティナと男性2人の会話を聴きながらフィリシアは起き上がろうとするが

突然立ち上がったせいか足を崩し倒れそうになる……それを受け止めたのは

エステで、心配そうな顔でフィリシアに話かける


「大丈夫か? あれだけ頑張ったんだ、無理はするなよ」


「無理? 少し休めば大丈夫、心配しなくても平気」


「そうじゃない、女の子なんだから少しは甘えろ」


「……そっか、じゃあお願い」


そう言うとフィリシアはエステの胸元に顔を埋め……寝てしまう

それは信頼したのか、ただ眠たかったか……エステに興味が沸いたのかは

わからない、その光景をサングラスをかけた主催者はニヤケ顔で言う


「モテモテだな、スティナちゃんがいるというのにもぅ、浮気か?」


「ち、違う……っていうかスティナは俺の彼女とかじゃない」


「ほぅ、そうなのか、まぁ、君はそこでフィリシアちゃんの面倒を見ていると良い

 私はスティナちゃんに優勝品を渡さないといけないからね」


「え、おい……ちょっと助けろ……スティナ、助けてくれ」


エステは両手でフィリシアを抱く事をせず、両手を空中でばたばたさせながら

スティナを呼ぶが、スティナは小さく舌をだすとエステに向かって言う


「自分でなんとかしてください、べーだ」


「おい! スティナ……主催者! 待てよ……」


スティナとアレクとエステから離れた位置の広場で会話を始める


「おめでとう、スティナちゃん、優勝の品なんだがどんな武器がいいかな?」


「えっと……ツインダガーってお願いできたりします?」


「それは構わないが……双剣か、スティナちゃんが使うのかい?」


「いいえ、私じゃなくて、私の大切な仲間のために用意したいんです」


その時のスティナの目はアスクから見て、どこか優しくそして真面目に

その子のために頑張りましたと主張しているかのように見えたと言う

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ