第113話-心の在り方、スティナの思い-
「それは……私がスティナを始めて見つけた時に感じた『感』みたいな物だ
この子と旅を続ければ何か……見つかるような気がしてね」
「それだけ? それだけなら……御旗を裏切る意味がわからないわ」
「ああ、その事か……私はいつもその場の勢いに流される事が多かった
今はどうかわからないけど……スティナが追われるのを見た瞬間に
体が勝手に動いたんだ……意味わからないだろ?」
「いや、わかるわ……私も始めてお姉様を見て『この人に付いて行こう』
と決めたのと同じ感じな気がしてね」
ミヤはハンナの言葉に頷く……それはハンナとミヤの間にあった『何か』が
少し和らいだかのように
「そうか……まぁ、私はこんな所に長居する気はない
また結婚なんて言われたら嫌だから」
「別にいいんじゃない? 結婚して妻が1日で家を出てどこかいっちゃったは
アスミス家の恥になるでしょうし、あの小母さんの悔しがる顔みれるし」
「おまえは……まったく……なんというか、あいかわらずだな」
「私? 私は前からこうよ、この性格を直す気もないしね」
「そうか、ミヤはそれでいい、私も変える気はないからな」
「どうしました? ハンナお嬢様、ドレスに着替えます?」
ミヤは片目でウインクしながらスカートの裾の両脇を掴みながら両手で裾を挙げる
それはハンナから見たら、この家で見慣れた物でもないが、どこか似合わなく
そしてどこか……優しさを感じた
「ありがとう、ミヤ……少し気分が楽になったよ」
「……そ、まぁ、ハンナにお礼を言われる筋合いはないけど、あんたが
いなくなったらお姉様が悲しむだけだから……頑張っただけよ」
「そうだな、お前はスティナ大好きだもんな」
「そうよ! 私はお姉様大好きよ、それは譲る気もないし、揺るがないわ」
「ははは、本当にミヤは凄い奴だよ」
「はぁ? ハンナ、あんた何か可笑しな物食べたんじゃないの?」
ハンナは笑いながらスティナが寝ていたベットの上に寝っころがると
顔を右手で蓋い隠しながら笑う、それをミヤは椅子に座ったまま呆れ顔で
ハンナに向かって冷静にツッコミを入れている
「なぁ、ミヤ……お前の武器を用意しないとな」
「え? 別にいいわよ、そのうち相性が良い武器見つかるでしょうし
私と波長が合う武器なんてそんなにないから、急がなくていいわよ」
そうミヤが言った直後、散歩にでていたスティナはある建物の前の張り紙を
見つめている、それをエステが後ろから覗き込み、スティナに言う
「なんだ? ……えーと、『闘技大会・アタッカー杯』?」
そこの張り紙にはこう書かれていた
『闘技大会・アタッカー杯』
対戦方法は1対1
主催者側が指定した武器を使い勝ち抜く、ただし遠距離武器はなし
年齢制限はなし、相手に『参った』『降参』を言わしたら勝者となる
優勝者には『指定した武器のオーダーメイド製のアインセット石武器』
「アインセットと言うのがよくわからないが、スティナはこれにでたいのか?」
「えっと……この優勝者武器、ミヤにあげられないかなって……ミヤ今武器ないし
この武器で作ったやつならミヤも喜んでくれるかなって、後」
「後なんだ?」
「この張り紙の下に小さく、優勝者の副賞に『50,000』ナハトって書いて
あるから……たぶん、この土地のお金のはず、これがあればミヤの服
買ってあげれるかなーと」
「なるほど……たしかに一番早いが、スティナ、大丈夫か?
俺が変わりにでてもいいんだぞ?」
「いいえ、これは私からミヤにお礼もこめてやりたいんです」
「そうか……じゃあ俺がスティナのサポートを最大限にしよう」
「ありがとうございます、ちなみに大会開始は午後スタートらしいです」
「午後って曖昧だな……えーと……時計塔の鐘がなるまで?
わかりにくいなぁ……まぁ、とりあえず軽めの食事を用意して
集合場所に急ごう」
「はい!」
スティナとエステは集合の場所の『時計塔』、この街のど真ん中に存在し
指定された時間に鐘がなる、正確には昼、夜になる、昼はお昼の食事時を現し
夜は、仕事終わりの時間帯を示す、ちなみにだが、時間帯は昼は12時頃
夜の方は18時を示しているが……スティナ達から時計塔の針は見えず
現在の時刻は『11時50分』を示している
スティナ達は時計塔近くのパン屋で買い物をしようとしたがお金がないことに
気づき諦めかけた時、エステのポケットに見慣れない金貨がある、そこには
3,000ナハトがあった、1,000紙幣があり、エステのポケットには3枚ある
『……ハンナさんか、感謝しないといけないな、ありがたく使わせて貰う』
エステはパン屋に入り、安めのパンを買うとスティナに手渡し
歩きながら食べる……その味はどこにでもあるようなパンなのだが
エステやスティナにとって……とても美味しく感じれたと言う
そして2人は時計塔下の集合場所に辿り着く。