第112話-ハンナと貴族-
ミナセとリリナが戦っている最中
ハンナ以外の面々は驚きを隠せないでいた
あきらかにハンナの家は貴族家と言ってもよいぐらい家、そして部屋の出来が
他の家に比べて大きく、それも高そうな物が置いてあるように見える
「え? ハンナさんって『貴族』だったんですか?」
最初に口を開け、言ったのはスティナだった
ハンナ自体、自分の素性を明かす事はめったになく、スティナに付いてきた事情
もミヤとは違い、曖昧な物があったのは事実だが……ハンナが『貴族』それも
御令嬢だったとはここにいる誰にもわからなかった
「ええ、そうよ、アスミル家、唯一の娘にして、この家を継ぐ子よ」
ハンナの隣で礼儀正しく立っていた女性がベットにいるスティナに向かい
笑顔で説明する、しかしスティナはその女性の名前が分からず困った顔した時
その女性はまるでわかっているようにスティナに話かける
「私の名前は『フィルナ・アスミル』、この子、ハンナの母親よ」
「フィルナさん……えっと……助けていただきありがとうございました」
「それはハンナに言ってちょうだい、そのベットもこの部屋もハンナの物
なのだから……それもここまで運んできてくれたのもハンナ」
「そこまで……言う必要はないだろ……お母さんには……迷惑かけてない」
ハンナは少し困り顔で目だけ横に逸らすとフィルナに向かって言う
しかしその時の言葉はまるでスティナが始めてハンナに合った時のような
歯切れの悪いような……そんな感じである
「……あなたがそう言うなら良いわよ、ただ……貴族は貴族らしく振舞いなさい」
「嫌です……私は貴族の世界が嫌い……人を見下し……侮辱する世界」
「違うわ、あなたが途中で逃げ出したから何も見えていないだけ
私は貧しい子供達にお金を寄付しているのよ、それを確かめてみなさい」
「……寄付と言う名目でお金を根回しして……盗賊達にお金を渡し
あげく……孤児院を襲わせた、そんな事件を私は聴いたことある」
「それは私じゃないわ、どこかの馬鹿貴族がやった事よ、勝手に決めないで」
「私がこの街を逃げ出す……何日か前の婚約事前でいろんな人を集めた時
私は何人かの男から話を……聴いた……だから間違い……じゃない」
「……っ、その子の体調がよくなったら出て行ってもらいなさい!」
フィルナはそう言い残すと部屋の扉をあけ放ち、音が響くほどの音で閉める
それを冷めた顔で見つめるハンナの姿あった
そんな状態のハンナに話しかけたのはミヤだった
「あんた貴族だったんだ……どうりでお金に余裕があるわけね」
「そうじゃない、このお金は1人で生きるようになってから溜めた物だ」
「じゃあ、どうして貴族の生活を抜け出したの? たしかにさっきの話みたく
変な裏事はあるかもだけど……別に不便はなかったんじゃない?」
「……あるわよ、政略結婚だ……アスミル家に恥じないように生きなさい
ピアノができるようになりなさい、歩き方が可笑しい直しなさい
他にもあるけど、それは全て親が私に押し付けた物、私自身の気持ちは
どこにもないんだ……それなら『貴族の地位』なんていらない」
「だからこの土地から逃げ出した……のは良いけど、どうやって剣技とか
できるようになったの?」
「貴族……まぁ、嗜みの1つに『護身術』があってな
教えてもらう先生に我儘いって武術を教えてもらったし、それに
武器の扱いもある程度はできたのさ」
「……あんたの母親はあんたの手が他人の血で染み込んでいるのを知っている?
それならいいんだけど、あーいう頭の固い人はそれを聴いたら発狂するわ」
「知っているさ……だから、こんな街、来たくはなかったんだ」
そこまで言うとハンナは下を向き、悔しそうな顔を見せる
その光景を椅子に座っていたエステはスティナに近寄り話かける
「なぁ、スティナ……もし、具合がよくなったら外を見に行かないか?
ハンナとミヤはここに残ってもらうから、戻ってこれるだろ?」
エステが突然何を言い出したのか……その意図に気づいたミヤは
エステの言葉に便乗し、スティナに話かける
「そうですよ! この街、他の場所と違って良い物あるかも
それに私は武器ないので……お留守番してますのでよければ行ってきてください
それと……私の服もお願いします」
ミヤはそう言うと恥ずかしそうにエルフの村で戦った時に破れた服の部分を
チラってスティナ見せる、それに納得したのかスティナはベットから出て
エステの前に立つと、エステに話かける
「わかりました、ミヤの服とエステさんとの買い物行ってきます
ハンナさんは……何か必要ですか?」
「……特にない、楽しんで来てくれ」
ハンナは下を向いたままスティナにそう言う、それを心配そうに見ている
そんなスティナの肩を抱き、エステは部屋の外に連れて行く
その後、ミヤは小さい声でハンナに話始める
「こういうのはお姉様に聴かせない方がいい、それに
身内で喧嘩していると……お姉様が悲しむ気がして」
「それも……そうだな」
「まぁ、今回ばかりはエステに感謝しとく……ハンナはこれからどうしたいの?
お姉様を守るために旅を続けるか……それともここに残るのか……」
「そんなの決まっている!! 私はスティナと一緒に旅を続ける!」
「ハンナ、あなたはどうしてお姉様……スティナと旅をしたいの?」
ミヤの真面目な顔でそう言い、ハンナを見る、ハンナは顔を上げミヤの顔を見た時
『そこに座ってくれ』とミヤに言う、ミヤはそれに従い、先程までエステが座っていた椅子に座る前に……ハンナの近くまで椅子を両手で運び、そこに座る
「……まぁ、つまらないかもしれないが聴いてくれ」
ミヤは無言で頷くとハンナはゆっくりと口を開く