第110話-反撃の痛撃-
「でも……そろそろめんどくさくなってきたのよ」
ミナセはそう言うとツヴァイヘンダーを地面に叩きつける
しかし、自分の足元に大剣を叩きつけた所でリリアには攻撃が届くわけがない
リリアはその攻撃を鼻で笑うように喋る
「何やってるの? もしかして……短気?」
そう言われたミナセは微笑んでいた
自分が短気と言われ喜んでいるわけではない、先程の大剣の一撃が意味のある事だと証明するために
「そこ……だー!」
ミナセは両手に持った大剣を思いっきり振り払う、その一撃がミスれば
リリナにかなりの隙を与える事は百も承知なのだろう
リリナもそれを理解しており、若干笑みを浮かべた直後脇腹にかなり衝撃が来て
リリナの体は少し遠くの木に叩きつけられる
それを確認したミナセは大剣持ち上げ、肩に抱くとリリナに言う
「ふぅ……良い一撃だったでしょ?」
「……つぅ……ミナセ……一体何をやったのよ……」
「何を? 簡単な事よ、あなたを狙って大剣を振っただけです」
「振っただけ? ……私の動きに付いてこれたって事なの……?」
そこでリリナは大剣で叩きつけられた脇腹を抑えながら立ち上がる
斬られたわけではないのである意味よかったとも言えるが……
脇腹にはかなりの痛みがあるはず、それを顔に出さず、考え事をしながら
ミナセを睨みつける
『嘘でしょ……あの動きを二回目で捉えたって言うの……?
もしかして、私は挑んだ相手……間違えたって言うの?』
ミナセは涼しい顔でリリナを見ている、まるで自分とリリナの力量を見分けた
かのような顔……だが、ミナセはリリナに対して容赦はしない
「……今度は私の番!」
ミナセは大剣を構えたまま、リリナに走り込む……大抵の人ならば
大剣を持って走るとその重さで足が遅くなるが、ミナセはそれを感じさせない
リリナの前に立ち、片足を軸に大剣を大きく横払いする、それをリリナは
しゃがみ、反撃に移ろうとするが、大剣と感じさせない振りの速度で真下に
振り下ろす、それを手に持っていた剣二本で受け止める
『……まずい、手が痺れる……この大剣あきらかにツヴァイヘンダーじゃない
もっと別の何か? でもそんな感じしない……』
それは力と力……大剣の攻撃を二本の剣が支え、振り下ろされるのを抑えている
それを行っているのが女性2人だと言う事をまるで忘れてしまうような力のぶつかり、だが……決着がすぐに決まるわけではなかった
リリナは昂進の力を使い、大剣を2本の剣で少し弾くとすぐさまその位置から
飛び退く、しかしミナセの剣は地面に付く事なく、そのモーションのまま
大剣を持ち直し、リリナが動いた先めがけて走り込んでいく
『馬鹿じゃないの?! このおばさん……』
その直後、リリナに向かって大剣がもう一度振り下ろされる