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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第14章-世界は何時も知らない所で動いている-
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第109話-鎌鼬(かまいたち)-

リリアはそう言うと片方のスピアでもう1つのスピアの真ん中部分を槍で叩く

すると……スピア部分は糸も簡単に地面に落ちる、それはまるで『皮』のように

そしてもう1つのスピアも同じように叩き、2つの武器はその姿を現す


「これこそ、私が持つ剣、『サイフォス』よ、って言ってもサイフォス

 が何なのかわからないわよね?」


「たしか……戦場で主武器の槍が破壊された時に使う事があった剣よね

 でも……その武器は何か違う……剣を折る武器に近いわね」


「あら? 気がついちゃった……ばれちゃったってことで正式名は

 『サイフォス・ブレイカー』、そしてその相剣『サイフォス・ピラー』」


『サイフォス・ブレイカー』

サイフォスを刃部分をギザギザにし、その部分で剣を挟み叩き折る

しかし、それでも折れない場合が起きる、そのため『サイフォス・ピラー』

を上から叩き付け、へし折る武器、サイフォス・ピラーのほうが重量は重く

こちらのほうが剣とも言える、そのため両剣で重さが違うため利用する者は減り

現在で使用している者は少数とされている、ちなみにだが……

この正式名所を知っている人物はほとんどいず、『サイフォスの紛い物』

と呼ばれる事もあり、サイフォスの馬鹿にしたを誤植し、サイフォスを壊す

と読み取った剣の制作者は『サイフォス・ブレイカー』と言う名前にした


サイフォス・ピラーの方の意味はサイフォス・ブレイカーを『支える』を意味し

ピラーと名付けられているが、サイフォスの紛い物を支える武器としてセット

で扱われ、こちらも『サイフォスの紛い物』と呼ばれる不幸な2本である


「で、なんでその剣達をスピアの中に隠してたの?」


「え? 雑魚相手にこの剣達を使うのはもったいないから」


「私には使う価値があると言うのね?」


「そういうこと、よかったね、『おばさん』」


「ありがとっ、そろそろお肌の荒れが目立っちゃう年頃なのよ」


その会話はミナセとリリアが笑顔で言い合っているが、ローラントとアイリス

には空気が凍りつくようにひりひりと肌に感じる『殺意』


「……あの2人に近寄りたくないな」


「今はそうですね、ハーピー達もあの2人威圧されて空から降りてこないです」


「良いのか悪いか……なんとも言えない空気だな」


「そうですね……まぁ、油断せずにミナセさんを守りましょう」


「了解だ」


ローラントとアイリスは気を抜く事無くその場で武器を構え直す

それを横目で見たミナセはショートソード2本を腰に仕舞い、大剣を構える


「ミナセの相棒も登場かしら? それは『ツヴァイヘンダー』?

 もっと長かった気がしたけど……気のせいかしら?」


「これはツヴァイヘンダーよ、まぁ、細かい事は気にしないほうがいいわ」


「そう、じゃあお話はこれぐらいにして……行くわよ」


リリアは先程よりも速度を上げる、本来の武器を持った事でやる気が上がったのか

それとも、これこそリリアの『本気』なのか、それは本人しかわからない


リリアはミナセの周りを先程のように回っているように見えるが、あちこちで

剣が地面に触れるようなそんな音が地面の草を切り裂き、周囲の木の表面に

切り傷を付けて行く……それはまるで風の中から刃をだすように……


『なるほど……走りながら剣を振っているように見えるけど、これはフェイク

 実際は剣が木や草に触れて斬っているように見えるだけ……』


ミナセは冷静にリリアの動きを分析するが、リリア本人をミナセが捉えている

訳ではなく、ミナセはその場から動かす武器を構えたまま


「せーのっ!」


ミナセの後ろから声が聴こえ、ミナセが振り向くとリリアが右手の剣を構え

ミナセに斬りかかるように見え、ミナセは剣を構え、防ごうとするが……

次にミナセが斬られたのは背中だった

しかし、その傷はかすり傷とまではいかず、服が少し切れたぐらいである


『……今のは残像? 残像にしては『気』があった、だからと言って

 その残像に斬られたわけじゃない、斬られたのは背中……』


「次はこーこ!」


次にリリアが現れたのは頭上、しかしミナセはその攻撃を防ごうとしなかったが

『殺気』を感じ、ミナセはその場から後ろに飛びぬくと、ミナセがいた場所に

リリアの『サイフォス・ブレイカー』が空を切り裂いて音をたてる


「あら、残念……次はどこから行こうかな」


リリアは再度走り出すがミナセはその場で動かず、考え始める


『……剣に何か細工がある? それなら剣に何か光なり起きるはず

 でもそれはない、リリア自身が人間じゃない? それはないわね』


「油断大敵!」


リリアはサイフォス・ブレイカーとサイフォス・ピラーを構えクロス状に

するとミナセの背中から突き刺そうとする、しかしその攻撃を

ミナセは避けず、大剣を背中に回しその攻撃を止めている


「ちっ、もしかして……わかったの?」


「何を? 私はあなたの『殺気』を追っただけ、ただそれだけのことよ」


ミナセが微笑みながらそう言うが残像紛いの殺気と本人の殺気を見分けて

さらに武器をリリアより速く背中に回した事実はリリア自身が良く知っている


『何この人……楽しすぎてよだれ出ちゃう……もっと遊びたいな』


リリアは興奮した様子でまた走り出す

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