第108話-ミルリッサ・A(アーティ)・リリア-
「やぁ……ハーピーをこんなに殺しちゃって……なんとも思わないの?」
ミナセの前に突然現れた女性はミナセの足元のハーピーの死骸達を見るなりそう
ミナセに言うが、ミナセは真面目な顔でその女性に言い放つ
「……思わないわ、だってハーピー達が先に襲って来たんだから
正当防衛じゃないかしら?」
「正当防衛か……便利な言葉だよね、『理由』があって襲ってきてるかもしれない
のに、あなたはそれでも正当防衛と言い放つの?」
「ええ、どんな理由があろうとも、先に攻撃してくるほうが悪いのよ」
「ふーん、そっか……」
ミナセの前でスピアを1本ずつ持つ女性は笑いながらそう言った
そう、散々ミナセに向かって言った言葉はただ『煽り』
ミナセがその言葉で動揺したり嫌な顔をするなら効果的だと思ったのだが
ミナセの眼から捉えられる感情的な物は『戦いたい』と言う気持ちともう1つ
『もういいかしら?』と眼で訴えかけてるようなそんな気にさせる
「……すごいわね、あんた……まるで『戦いの化身』みたいな感じがするわ」
「戦いの化身? 何を言ってるのあなた……私は敵を倒したいだけ」
「敵じゃないかもしれないのに?」
「誤魔化せるわけないわよ、あなたから『敵意』がでてるのだから
正確な所、このハーピー達を殺された恨みってところかしら?」
「せ・い・か・いっ!」
その女性はスピアを構えながらミナセに突撃してくるが
狭い森の中を木にぶつかる事もなく、まるで自分の庭のように動き回る
それはミナセを翻弄し、隙を狙って攻撃しようと言う魂胆に見える
「……」
ミナセは無言でショートソードを2本、両手に持つと目を閉じ
その場に立ちつくす、その間もミナセの相手の女性はミナセの周囲を
走り回り、隙を狙うが一向に攻撃しない、それには理由がある
『何……この人、隙がない……ただ立っているだけで隙だらけなのに』
そう女性が思った直後、女性に向かってミナセの右手のショートソード
が女性に向かって斬りかかってくる、それを間一髪避け、ミナセから距離を取る
とミナセに話かける
「……あなた、名前を教えてくれるかしら?」
「嫌よ、名前を聴くならまず最初に自分が名乗るのが礼儀よ」
「それはそれは申し訳ない、私の名前はミルリッサ・A・リリア」
ミルリッサ・A・リリアと名乗った女性は両手にショートスピア
らしき物、そして髪型はロングで風でふわっとしそうなほど柔らかく見える
そしてその色は『赤』、そして服は巫女服のような服なのだが下半身は
白のロングスカート、上は巫女服のように袖が長い、それなのに武器がスピアと
は実に合っていないのが……それが似合ってしまうような気もする
「ミルリッサ・A・リリアね、私はミナセ・フィーナベルク」
「ミナセね、私の事はミルでも、リリアでもいいわよ、ちなみに年齢は?」
「今年で『32』よ、あなたは何歳かしら?」
「……何、ミ、ミナセは32?! 私は今年20だけど……同じぐらいに見えるわ」
「それはありがとっ、お世辞を言っても手加減はしないわ、リリア」
「もっちろん、戦いを楽しみましょ」
そう言うとリリアは左手のスピアをミナセに突き出す、それを最低限の動きで
回避し、右手のショートソードでそのスピアを落とそうとするが……
リリアはその動きに合わせ、右手のスピアをミナセに伸ばすが、その攻撃は
ミナセの左手のショートソードで防がれる
「二槍流には二剣流と……その背中の大剣は使わないの?」
「使わなくて十分よ、あなたを倒すのにはこれで十分だから」
「そう、なら……少しだけ『遊んで』あげる」
そう言うとリリアはミナセのショートソードを弾き、距離を取ると
リリアは2つのスピアを構え、行動に移す