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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第14章-世界は何時も知らない所で動いている-
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第106話-仲間と並び立つために-

そしてしばらくするとアイリスがミナセとローラントの場所まで戻って来て

アイリスはミナセ達に周囲の状況を説明する


「この辺は見て来ましたけどほとんどが森……ですね、あとは大木がある程度

 それぐらいしかわかった事はありません」


「そう……んーローラント、少し探索してみようと思うのだけど、どうかしら?」


「ああ、別に構わないが、細心の注意を払いながら探索するぞ」


「りょーかい」


ミナセ達は大木を目指し森の中を歩いて行く

ここは『エルミィティガルド』、スティナ達が上陸した場所の反対側と言っても

良いぐらいの場所であり、スティナ達が逃がしたハーピー達が住まう大木付近に

ミナセ達は足を向けている


「しっかし……この草とか木とか……整備されてる様子はないわね」


「ああ、そうだな……まぁ、人の足跡もないけどな」


ローラントの言う通り、足跡はない……それは雨や雑草の生える速度によって

それを蓋い隠し、ジャングルと化す……ちなみにだが、大木周辺はエルフ達が

こないため道を作る事もなく、無法地帯のため……ジャングルその物とも言える


「……熱いです、ミナセさん、鎧脱いでもいいですか?」


「鎧の下が下着じゃなければいいわよ」


「大丈夫です、半袖ですけど絹の服で……下はそのままで大丈夫そうです」


「じゃあ、良いんじゃないかしら? ただ……男がいる事忘れないでね」


「……そうでしたね、忘れてました」


アイリスはローラントの顔を見ると真顔でそう言う、ローラントはその言葉に

溜息を付き……『勝手にしてくれ』と言う、アイリスはその言葉を皮肉と

受け取らず、鎧を脱ごうとした時、上空から……『あれ』がやってくる


「何あれ……鳥? 違うわね……人……?」


「あれは『ハーピー』だ、本で読んだことはあるが実在しているとは

 手が翼と爪、足がタカのような大型の爪を持ち、顔は女性」


「情報ありがとっ……でも、空中の相手はどう相手したら『面白い』かしら」


「面白いって……まずは安全に態勢を整えよう、空も見えにくい場所で

 戦っても……こっちの不利にしかならない」


ローラントの言う通り、空方面には木が大きく草が空を隠すほどでハーピーを

捉えるのは至難に近い……はずなのだが


「せいっ」


ミナセは背中の『ツヴァイヘンダー』を両手で持ち大きくその場で縦に振る

その光景で驚いたローラントは驚いた口調でミナセを攻める


「おい! こんな場所で大剣を振るな! 味方に当たるだろ!」


「は? 当たったのは空から来た『こいつ』よ」


ミナセがツヴァイヘンダーを背中に仕舞い、右手で指を指す方向に

ローラントが目をやるとそこには肩羽を切り取られたハーピーがいる

その生きているハーピーをアイリスは無言で心臓を突き刺すと

アイリスは剣を抜き、血を払うと鞘に納める


「ミナセはどうしてハーピーにわかったんだ? 

 こんな見にくい場所で……それとアイリスは意外に残酷だな……」


「見えてるわけじゃないわよ、ハーピーが羽ばたいて来る方向に剣を振っただけ

 それぐらい、誰でもできる事でしょ?」


ミナセが言いたいのは、ハーピーが空からこっちを狙って滑空攻撃をする

羽ばたき音を聴き、来る方向を予測して剣を振っているだけと言いたいらしいが

正直、その行動ができる人間がそうそういない、さらに視野も悪い、さらに

熱く集中力が欠ける中、それができると言うのは並外れた集中力を現している


「残酷? だって生き残らせたらこっちが殺されますよ、襲ってくる者に

 遠慮してるようでは何れ……ローラントさんが足元を掬われますよ」


アイリスは真顔でローラントにそう言う、アイリスの言っている事は正論であり

理解もできる、相手は人間ではなく魔物になる、それを慈悲の心で

生き残らせていると、傷の回復した魔物がまた襲いかかって来る

ならばここで殺すしかない、

それを理解しているからこそ、2人は一撃で決める覚悟をしている


『……女性だと思っているせいか多少甘くみているのかな

 この2人は生きていた世界が僕とはまったく違う……一歩間違えば

 自分が死んでしまう世界だったのだろう……その違いなのか?』


ローラントがそう思っていると空中から急降下してくるハーピーの攻撃に

対応できず、直撃しようとした攻撃をミナセがショートソード1本

アイリスが大剣を構え、ハーピーの攻撃を防いだ直後

2人同時に同じ言葉をローラントに言う


『大丈夫?!』


「あ、ああ……悪かった、次は気を付ける」


「そうして頂戴、ハーピーとか言う奴は数が多いかも」


「そうですね、私達だけで何匹潰せるか……ローラントさんは

 私達が守るので後ろに隠れててください」


アイリスにそう言われた時、ローラントは気づく

今までミナセの強さに助けられ、あの遺跡を攻略した……もちろん自分も

頑張り多少は役にたった気でいたのだろう……それは思い違いである

と今、自覚する、なぜならローラント自身にそこまで戦闘力がなく

知識があっても、それが戦闘にいかせるとはかぎらない……

それを今この場で実感させられたのだ、遺跡の時はミナセが援護してくれて

自分が強く見えていただけなのだと……2人の女性の手によってわかった


「ローラント? あんまり動かないようにね、守りきれないかも」


ミナセは心配そうにローラントの顔を横目で見ながらそう言う

ローラントはそこで決心する……男の癖に女性に守られてばっかりで良いのかと

ミナセは強いし、アイリスもミナセに劣るがかなりの腕前だ

2人にまかせれば自分は安全かもしれない


だからと言ってそれでいいわけない、自分が2人と肩を並べて歩いて行くために

今ここで……振るえた足を叩き、武器を構え、1歩前にでる時だから


「……守らなくていい、僕も2人の援護くらいはできる」


その言葉を聴いたミナセは笑顔で頷く、まるでローラントがそう言うのを

知っていたかのように……ミナセが頷くのを見たアイリスも武器を構えたまま

ローラントに声をかける


「わかりました、ミナセさんは1人でも大丈夫そうです、ならば私と連携して

 ハーピーを駆逐していきます、準備はいいですか? ローラントさん」


「ああ、もちろんだ……かかってこい、空飛ぶ魔物」


ローラントは長刺混を片手で回した後、両手で構える

それを2人はクスクスと笑うが、そんな事を気にしてる余裕はローラントにはない

今、目の前……空にいるであろう数のわからない敵を倒すために全神経と集中力

をかけて、立ち向かうために

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