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第99話-共として相棒として-

ミヤはハンナの懐に飛び込み、腹めがけて思いっきり右手で殴ろうとしたが

それをハンナの左手のナイフの平らな部分で防がれてしまう


「ちっ……簡単には気絶してくれないか……」


ミヤは後ろに飛び退き、もう一度突撃しようとした時

ハンナは自分の持っていた左手のナイフをミヤに向かって投げつける

それを間一髪、顔を霞めていくが……頬に薄くかすり傷ができる

その後、ハンナは地面に投げ捨ててあったナイフを拾い構える


「あーあ、今日は傷だらけ……名誉の負傷とクソな負傷……

 まったく……名誉だけにしてほしい」


名誉の負傷、それはミヤにとっての背中の傷、スティナのために戦い

それによって受けた傷だから名誉の負傷なのだが、ハンナによって

ほっぺに付けられた傷は『クソ』と言ってる


「仲間を目の前にして敵とは……ハンナの頭の中はお花畑かよ」


「……お前、殺して私はスティナを助ける」


その言葉でミヤはある事に気づく

それはハンナのスティナを助けたいと言う思いが前にでている事

少なからずハンナは村に戻りミノタウロスの相手をしていた最中に殺意に

飲み込まれ、今の現状になったと……考える


「その意気込みはいいけど、殺意に飲み込まれたらだめだっての」


ミヤは右手のナイフを払い、ハンナの持つナイフめがけて走り込む

ハンナも咄嗟の事に右手のナイフを構え、臨戦態勢に入ると

ミヤはハンナのナイフめがけて、下からナイフを上に払い上げる


『お姉様が一度見せてくれた武器払い……上手く行くか?!』


しかし、その攻撃は見切られていたのか、ハンナは体を後ろに反り返り

手元と同時に顔を後ろに下げ、ミヤの攻撃を避ける


「ちょっと……何時もより強いんじゃないの? この『おばさん』」


しかし目の前のハンナはミヤの『おばさん』と言う言葉に反応することなく

冷静にミヤ……を見つめ、殺すと言った殺意を滲み出させている

その意志がミヤに空気的に重たいほど伝わる


『あー……ほんとにめんどくさい、傷痛いし……目の前の奴、敵じゃないし

 めんどくさい、めんどくさい、めんどくさい……』


そこでミヤが考え付いた結論は何時ものハンナなら絶対に行わない行動

その行動は『何時も』のであって、今のハンナに通用するかはわからない


「やるだけやってみるかっ」


ミヤは両手のナイフを構え、ハンナに突撃する

それは何の考えもなく、ただの突撃であり、ハンナ自身もそれに気づき

目の前に両手のナイフを構え、追撃の態勢を取りカウンターを狙う


その態勢めがけ、ミヤはナイフをナイフにぶつける

もちろん……ミヤの一撃より、足場を固め対応してきたハンナに分があるかに

見えたが、ミヤはそこからさらにナイフに力を込める


ずっと共に相棒として……戦ってきた『アルインダーナイフ』

長い戦いを得て……耐久力はほとんどない、だからこそミヤは力を込めず

軽く軽く武器を振るっていた、ミヤの力量もあり、弱い相手ならばそれで済んだ

でも今目の前の敵に……この友を使うのは別にかまわないとミヤは思った


「さよなら……私の相棒……今までありがとね」


ハンナが防いだ目の前で両手で持っていたアルインダーナイフにひびが入り

少しずつその形はかけていく、ハンナはそれを悟り武器を破壊すべく

自分の持っていたナイフを手前に引き、両手に持ったナイフを勢いよく

ミヤのナイフに叩き付け、粉々にする


しかし……その場にミヤはいない

『アルインダーナイフ』を犠牲にしてまでやりたかった事

それは……ナイフを囮にし、自分自身からナイフに気を削ぎ

ハンナの真後ろに回ると右手で手刀を構え後ろに回しハンナの首元に当てる

するとハンナは気絶したように地面に前かがみに倒れる


それを確認したミヤはゆっくりと歩きながら体を屈め

ナイフを破片を1つ、手に取ると独り言を洩らす


「……ありがとう、今まで私と共に歩いてくれて……」


その破片にはかけた部分から英文字で『MIYA』と彫ってある

誰にも見せた事のない文字、正式には『MIYA・STEIRA』と彫ってあった

この武器は母親と父親からの唯一の送り物……そして唯一名前の彫ってあった武器

この文字を他の人に見えたくなく、何時も見えないように剣を振るっていた

そんな思いが……ミヤの心の中に響いていく


「ったく……武器は壊れるわ、傷だらけになるわ、服が破れるわ……

 お姉様に付いて来て、良い事なんてほっとんどないわね」


そう言いながらもミヤは自分の頭を右手でかきながら倒れている

ハンナを肩で背負い、歩き出す


「この馬鹿……速く眼を覚ませ、重いっての……」


そんな状況を遠くから見守っていたエルフ達が近寄り

ハンナを村の中に連れて行ってくれるのを確認したミヤは微笑みながら

ゆっくりと倒れ込みそうになる……それをココが抱きしめ話かける


「大丈夫ですか?! そんな傷で無理しちゃって……」


それに気づいたミヤは閉じそうな眼を閉じず、小さく考え込んだ後

ココに独り言のような言葉を発しした後、脱力する


『……これからも頑張るからね、今は少し休ませてね……』


「ミヤさん?! ……よかった、気を失っているだけ

 速く連れ戻って傷の手当しないと……あれ、ミヤさんって軽いのね」


ココはミヤをおんぶすると傷の手当をするために村の中に入っていく

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