表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/190

第98話-あるはずのない戦い-

スティナの手によって村の端……木の城壁に寄りかかる形でミヤは目を覚ます


「……ん……背中がまだ痛い……! お姉様?!」


ミヤは慌てて立ち上がるが……背中を斬られた時による痛みは酷かった

それにより、苦痛の表情で立ち上がり気合で歩き始める


すると目の前にはスティナと少し離れた位置にクライムが倒れており

ミヤは足を引きずりながらスティナに近寄ると、泣きそうな顔で話かける


「お……姉様? お姉様……スティナ……起きて!」


しかしスティナは起きない……ミヤにはスティナの寝音が聴こえないほど

混乱しているようだ、だが、そんな時、スティナの手元から落ちたロストが

ミヤに話かける


『煩くしなくても大丈夫だ、スティナは力を使い果たして寝てるだけ

 時期に目を覚ますだろうよ……たいした怪我もなさそうだしな』


「ロスト……だっけ、本当にお姉様は大丈夫なのよね?!」


『ああ、大丈夫だ、ちなみにだが……スティナよりもお前のほうが 

 怪我が酷そうに見えるが、俺の見間違えか?』


「見間違えよ、それと彼奴を倒したのはもしかしてお姉様?」


ミヤは立ったままロストを見下す形に話かけているのがロストは気に入らず

『おい、立っているのもやっとだろ、座れ』と言い、ミヤをその場に座らせる

そして、ロストは先程の戦闘の内容をミヤに説明すると、ミヤは驚きながら

ロストに向かって大声を上げる


「嘘でしょ?! あのお姉様が……クライムを完封したって言うの?」


『ああ、しかし……あの状態のスティナは自分自身が持っている限界値を超え

 それこそ、空気……いや、全てを見えてた……そんな状態だった』


「……何それ、それこそ相手の動きすら見えてたって事?」


『いや……スティナは衝撃波を切り裂いた、たしかに衝撃波は風圧が圧縮して

 それが刃状に相手に襲いかかる原理なのだが……剣で斬ろうと思えば

 剣をすり抜け持ち主が斬れるか……または剣すら貫通して持ち主を切り裂く

 そんな物をスティナは俺の前で切り裂いたんだ』


「それはあんたの『溶断』とか言う力なんじゃないの?」


『違うな、溶断は『物理的な物を溶かす』事はできるが、衝撃波は物理じゃない

 それこそカマイタチと同じ原理に近いかも知れん、だからこそスティナは

 風その物が見えていて、その軌道を剣で斬っていたんだ』


「……あんたが言ってる事が本当なら、お姉様は何者なの?」


『さぁな……スティナの母親の血かと思ったが、あいつにそこまでの

 可笑しな力はない、それこそ……スティナ自身に宿った力なのか……または』


「または?」


『いや……なんでもない』


ロストは次にスティナの父親の血と言おうとしたが……それは合えて言わなかった

スティナ自身、父親の話をした事は一度たりともない、それこそスティナに父親が

いるかどうかも怪しい……だが、スティナが生まれたと言う事はミナセは誰かと

子供を生むような行動をしたに違いない


『それはそうと……村の入口のほうからとてつもない『殺気』を感じる』


「そうね……私もロストに近くに来てからピリピリと感じる」


その後、ミヤは『少し様子を見てくる』と言って立ち上がると

ゆっくり歩き出す……背中の血は若い事もあり、固まっているがその傷は

女の子にとって、一生の傷になるかも知れない物だと言うのにミヤは

それを顧みず、殺気がする入口の方へ歩いていく

その光景をスティナの近くから見ていたロストは独り言を洩らす


『お前の友達は……可笑しな連中ばかりだな……ほんとこっちが困る』


それは誰に向けて言った言葉なのかは……ここにいる誰にもわからない



そしてミヤが村の入口に辿り付いた時、その現場は殺伐としていた

ミノタウロスの首が3つ地面に落ちており、村の入口の木の門から怯えながら

こちらに逃げてくるエルフ達がいる、ミヤはそのエルフ達に話かける


「どうなっているの? 一体何が……?」


「ハ、ハンナさんが暴走しちゃって……見境がないんです

 ココさんが上手い事、私達を逃がしてくれましたが……」


その言葉聴いたミヤは傷の痛みを我慢しながら走り出し

村の入口から少し外に出たジャングルの入口になっている街道付近で見つける

しかしココの相手はハンナである


「ハンナさん! 気をしっかり持ってください! 殺気に飲まれちゃだめ!」


「……煩い、私の邪魔をするな……私は皆を助けないといけないんだ!」


「皆助かってます! ミノタウロスもいません!」


「いるじゃないか……私の目の前に立っているお前が」


ココは恐怖した、ハンナがこちらを睨んでいる目は充血して赤くなっている訳では

なく、右目が紅くなっている……それはまるで『殺意』に支配されているそんな眼


ハンナはココに飛び込む形で持っていた両手のナイフでココにジャンプする

ココは恐怖で動けなく……眼を瞑った


しかしココにハンナの斬撃はこない……ココはそっと目を開けると

目の前にミヤがいて、その背中には誰かに斬られたのか2つの斬り傷がある

傷は深くないが……このまま放置したら傷が残ってしまうほどである


「ミヤ……さん、その傷で無理しちゃ……だめです」


しかしココはその場に尻餅を付き、腰を抜かしている状態である

そんなココを横目で微笑みながらミヤはハンナの攻撃を両手のアルインダーナイフ

で受け止めながら言う


「大丈夫……この馬鹿を止めるのは私の役目だから」


その言うとハンナのナイフをミヤは左右に払うとハンナは

後ろに飛び退き距離を取ると……ミヤに向かって話かける


「また新手……村の中に私を入れさせない気か……スティナ、今行くぞ」


「ちっ……この馬鹿、周りが全て敵に見えているようね」


それはミヤとハンナ……長くもない付き合いの中、一度たりともなかった

『死闘』、それが今こんな状態でやる事になるとは思いもしなかった

2人は武器を両手に構えるとお互いに声を出しながら突撃する


「いくぞ……! お前を倒して、私は皆を助ける!」


「……殺意に飲み込まれちまって……まったく……今日は本当に厄日ね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ