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第97話-誰がために剣を振る-

吹き飛ばされたクライムは飛ばされた位置から身をお越し

脇腹を抑えながら立ち上がる


「ちっ……人間の体は脆い……」


「当たり前よ、人の体を使って戦っている者には痛みがわかるわけがない」


「ふん……こいつは我と契約した身だ、我が戦っている間は我の自由だ」


「……本に載ってた悪魔みたいな性格ね、まぁ……それも今回でおしまい」


「ふざけた事を言うな! 小娘風情に何がわかる!」


クライムはその場から姿の消す

それは先程、ミヤに行った姿なき斬撃

だが……『一度見たのだ、対処方法はある』


それはその場から動かず待ち伏せするから行けない

何故なら姿を消すと言っても見えないだけで、どこかを動いている

もちろん……その姿は見えないが『攻撃』を予測する事はできる


ミヤが身を犠牲にし私に見せてくれたあの光景は私の知識となり

私自身の力となり、クライムの見えない斬撃を暴く事が出来る


「後ろを狙うのが好きですね、悪魔さ、ん!」


スティナは自分の真後ろに剣を振るう、すると金属と金属がぶつかる音が

何もない場所で響き渡る……その直後、何もない場所から鎌でスティナの攻撃

しようと武器を構えていたクライムが姿を現す


「……なぜ気づいた、貴様如きのこの攻撃が読めるわけが……」


「読めるわよ」


それはミヤが倒れる間際にやってくれた事

クライムに斬られた後の血を飛ばし、服に付けたのだ

その血はまだ固まっておらず、地面に垂れ、居場所を教えてくれる


「そうか、私はお前を侮っていたようだな……ではこれはどうかな」


クライムはスティナから距離を取り、鎌を振るう

それはスティナを狙った遠距離からの衝撃波


「無駄です、ロストにそんな技、通用しません」


スティナは刃状の衝撃波を斬った

それはロストだからできる剣技……相手の衝撃波をロストの『溶断』で切り裂いた

だが、衝撃波を見る事は人間には不可能な芸当にも見えるが

今のスティナにはその刃の軌道すら見えている


『……これは、ミナセの血縁……いや、これはスティナの中に眠っている力?』


ロスト内心でそう思う、ロスト自体ミナセとの付き合いが深い方ではないが

ミナセから湧き出るような『戦い』の気迫は今のスティナに見えない

今のスティナから見えるのは『悲しみ』と『怒り』それが混ざり合ったような

それはけして……嫌な感じではなく、どこか優しい感じにも取れる


「ほぅ、ならばこれはどうだ……切り裂け、虚無よ……我は『ここ』にいる』


もう一度クライムは姿を消す、しかし今度は先程の姿隠しとは違い

気配……血が垂れていない……まるで闇にまぎれ本当に姿を消したかに見える


『スティナ! この場から離れろ! 何か仕掛けてくる!』


「うん……わかってる」


しかしロストの言葉とは裏腹にスティナはその場から動かないでいた

それも目を閉じ、ロストを鞘に仕舞い柄の部分だけを持っている

それは『居合』の構えにも見えるが……スティナは居合を知らない


『これで終わりだ! ここに散れ……!」


どこからかクライムの声と共に衝撃波がスティナに襲いかかる

その直後……ロスト、そしてクライムが驚く光景が起きる


それは……スティナが放った『溶断波』

それも衝撃波を切り裂き、ロストの鎌を半分に溶断した

しかしクライムが立っていた場所はスティナの遥か前

普通ならばその位置に的確に溶断波を撃つ事なんてできないはず

それをやってのけたスティナにロストは驚きを隠せなかった


「あなたのほうがこれで終わり……鎌に宿りし亡霊さん」


「……よく気づいたな、我が鎌に宿っている事を……

 まぁ、いい……次会う時が会ったら今度は我が勝つ

 それまでは……生きていろ、小娘」


そう言うとクライムはその場に前かがみに倒れそうになる

倒れる瞬間、クライムが何か小さい声でロストに喋る


『……お前は知っていたはずだ、ヘンデスヘルスのあの技を』


『ヘンデスヘルス……?』


ロストはその言葉……その名前を憶えていない

それを見たクライムは小さく微笑むと……地面に倒れるのを確認した

ロストはスティナに話かける


『よくやったな、スティナ……今回は褒めてやる』


「ぁ……りがとっ、でも……ごめんね、少し眠いや」


スティナはその場に倒れ込む……それを一緒に地面に倒れたロストが

慌てているかのような口調でスティナに言う


『スティナ! おい! ……まさか……』


そうロストが思った時、スティナから寝音が聴こえ、安堵した

しかし……その場にいた3人が動けない中、村の入口で戦闘は続いている

ココのお陰で村の入口の外へ誘導したはいいが、冷静になったミノタウロスは

村を襲うとした、そのためココとエルフ達は村の入口を固め、ミノタウロスを

抑えていた……だが、その戦況は大きく覆される事になる


「村の入口を固めろ! 敵1体も村に通すな! エミはエステ達を読んで来てくれ

 ここは私達で持たせる! 全員、気合をいれろー!」


「わかりました! ハンナさんもお気をつけて」


ハンナとその仲間のエルフ達は急いで村に戻った

その時、村の入口でエルフ達が入口を突破されないように時間を稼いでいたのだ


『……スティナがいない? まさか村の中で何か……』


ハンナはそう思うと焦る気持ちが抑えられなかった

自分がもっと早く……もっと的確に状況を判断し、村に戻ればこんなに

心配にはならなかったし、エミを先に戻らせ、情報を集める事はできた


「……ミノタウロスの1体や2体……私1人で潰してやる……」


「ハンナさん?! 1人じゃだめです! 連携を取らないと!」


ココがハンナの特攻に気づき、止めようとするが今のハンナにはその言葉

は届かない、しかし……目の前の敵を一瞬でも早く殺せる方法を考えたハンナは

残虐……ともいかないが、敵をすぐさま殺せる方法を取る


「邪魔だ、牛頭……お前の首はいらない」


ハンナは地面に落ちていたナイフ……それはエルフが護身用に持っていた物だろう

それを、2本両手に持つとミノタウロスの背後から首を引き裂きに行く

もちろん、ミノタウロスも首に激痛が走り暴れるが……時既に遅し

ミノタウロスの首は地面に転がる


「後、何匹だ? 私は今急いでいるんだ……牛如きに止められと思うなよ」


それは昔のハンナ……賞金を稼ぐために賞金がかかった人間の首を跳ね

それを依頼主に持っていた事があるほど……その時のハンナは恐ろしかった

しかし……御旗に入り、ミヤと出会い、それ以降……人の首を斬る事はなかった

何故なら、ミヤは自分よりも若く……そんな子に残虐な光景を見えるわけには

いかなかった、だからハンナはミヤがいる前ではトンファーを使い、打撃だけで

殺すまでにはいかないようにしていた、もちろん、それはスティナが来てからも

同じで……ハンナの中の『優しさ』があったのだ


「……時間が惜しい……さっさと殺す」


ハンナは自分に付いた血を払う事無く……残りのミノタウロスを排除するために

走り出す、その光景は援護するエルフ達にとって味方なのか敵なのか、それすらの

判別も難しくなるほど、ハンナが怖かったと言う

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