第91話-戦闘開始-ハーピー-
その頃……ハーピーの拠点である大木を目指し
ハンナとエルフ達はジャングルを進んでいく……
しかし、その道中、ハーピーと遭遇する事もミノタウロスと遭遇する事もない
だからと言って油断して言い訳ではないが、緊張は緩む
「敵いないじゃん……別にハーピー倒さなくてもいいんじゃない?」
「だよね、ここまで来ていないのから別に放置でも……」
そうエルフ達が喋り出した時、ハンナは喋ったエルフ2人に武器をむけると
睨みながら言う
「その油断が命取りとなる……それで生きれるほど戦場は甘くない
まぁ、油断してハーピーに殺されても『私は』しらん」
『私は』の部分だけ強調して言う当たりハンナらしい
それは油断してハーピーに殺されそうになっても私は責任は取らないし
助ける気もないと言う言葉、もちろん……エルフ達もその言葉に理解し
気を引き締め直す
そんな時、空中からハーピー数十匹が滑空攻撃を仕掛けてくる
その攻撃により弓隊の何人かが傷を負うが……軽傷で戦えないほどではない
そして、再度ハーピーが空中に舞上がりかけた時、ハンナはジャンプし
木を蹴ると斜め方向飛び上がり、飛び上がっている最中のハーピーの上へ行くと
両手に持っている『ツヴァイ・アーツ・トンファー』でハーピーを叩き落とす
ハーピーは自分よりも高く敵がいる事に気づかず、無防備に頭を投げられ
地面に突き落とされ絶命する、それを見たハーピー達は逆上しハンナに襲いかかる
その瞬間、ハンナは味方のエルフ達に指示を飛ばす
「私が囮になる! 今のうちにハーピーを撃ち落とせ……私は狙うなよ」
その言葉に従い弓隊は矢を放ち、ハーピーの翼を狙う
しかし……ハーピー達もその攻撃が来ることを察知してかハンナへの攻撃を止め
回避主体の動きを取るべく、弓隊から距離を取る
『……あのハーピー達、まるで矢が飛んでくるのを理解している?
と言う事は……どこかで指揮しているハーピーがいるのか……それとも?』
ハンナは考える……どこかにいるであろうハーピーのリーダーを
しかし、これだけのハーピーの群れの中で1匹を見つけるのは至難の技である
そんな時、エミがハンナに耳打ちする
「頭の髪が赤く、手翼は紫色のがリーダーだと思います
ちなみに普通のハーピーは髪が茶色のようです」
そうエミは海辺でハーピーの異種と遭遇した、それを覚えており
ハンナに情報を流す、しかし……これだけのハーピー
数えれる範囲で『30』はいる、その中で1匹だけ髪が赤いのを探すのは難しい
そんな時、隣に居たエミは1匹を指差しながらハンナに言う
「あのハーピー……髪、赤いですよ? あれがリーダーじゃないですか?」
しかしエミが指さしたハーピーにハンナは気づけなかった
ハンナ自身もかなりの洞察力がある方なのだが……動いている者はさらに
難易度が上がり探しずらくなる、そんな状態であってもエミは冷静に
ハーピーリーダーらしきハーピーを指さしながら敵の攻撃を回避し続ける
「エミ……私の近くにいろ、そのハーピーは私には見えない
私が援護するから、他のエルフにも情報を流せ」
「わかりました! 皆さん、上空から数えて3段目、一番奥側の左側に
ハーピーリーダーがいます、そいつを倒せば……指揮系統は混乱するはず」
「おい……さすがにそんな言い方じゃ皆もわからないだろ……」
ハンナがそうエミに突っ込んだ時、弓隊はエミの指定した位置に矢を放つ
それも正確に、それに続く形で投擲隊もブーメランを投げる
しかし、その一撃は赤い髪のハーピーに届かず……回避されてしまう
「これは中々に……長い戦いになる……な」
ハンナはハーピー達を見つめながらそう呟くのだった。