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ゲームの裏側

作者: ヒイロ

ある日突然友人が行方不明になった。

いままでそんなことは一度もなかったので、私を含む知り合いたちは全員必死になって探したが、その友人が帰ってくることはなかった。

 友人は極度のゲーム好きで一度も見たことがないような奇天烈なゲーム機で四六時中遊んでいた。だから、もしかしたら何か手がかりがあるかと思い友人の部屋へ赴き、私物を漁ってみた。漁っているうちに机の中から吸い込まれるような漆黒で塗られたゲーム機を見つけた。

魔が差したのであろうか、それとも単なる好奇心か。

私はそのゲームを起動させていた。このゲームの題名は『紅魔城~the Embodiment of Scarlet Devil.』。英語は不得手なので意味は分からないけど、タイトルからするに魔王を倒していくアクションゲームらしい。

このゲームに興味をもった私はそのまま家に持ち帰っていた。どうしてもやってみたくなったら。

それからというもの、私は寝る間も惜しんでこのゲームに没頭していた。今となっては何故そんなにはまったのか分からない。ただ魔王(紅い悪魔)を倒しにいくというだけのRPGなのに何か、はまる要素があったのだろうか。

まぁ、それだけやったかいあり、私は最終面の魔王を倒す所まで行けた。いままでのボス達と違い魔王は私のキャラを攻撃して来ずに、ただ逃げてばかりで「やめて!」や「たすけてー!」等の言葉を吐いていた。これも演出のひとつなのかと思い、私はあっさりと魔王を倒した。

魔王を倒した達成感に浸っていると、軽快な音楽と共に短いメッセージ群が出てきた。

『魔王は倒されました。このゲームに魔王はいなくなりました。次の魔王は――』

その時私はおかしな文章だと思った。だってこれはゲームなのだからいなくならいだろう……。

『お前だっ!』

画面がいきなりホワイトアウトしたと思ったら、私の体はゲーム機の中に吸い込込まれていた。最初に足の感覚が消えた。見てみると体が白い粒子に変わって画面内に吸い込まれていた。

お腹の感覚がなくなりかけていた所で、私はやっと我に返った。もうあと数秒で私の体は全てゲーム機の中に取り込まれてしまう。そう思った私は急いでゲームの電源へと半分消えかけている手を伸ばし――






間一髪私は助かった。

消えていた体はちゃんと再構成されていた。

もしあの魔王が取り込まれてしまった友人なら……。

行方不明の友人を殺したのは私ということになる。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 短い中にもちゃんと必要なものが入っていて、テンポよく読める作品でした。 ストーリーや設定や展開に奇をてらわない事で、安心して読めるショートショート作品になって良いと思いました。 [気になる…
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