何気ない日常にちょっとしたサプライズを
[何気ない日常にちょっとしたサプライズを]
雨が降りそうで、降らなそうな気分が下がる天気。二人は都の家で遊んでいた。都の部屋は全体的にクラシックな雰囲気だ。
ベットに机が二個(勉強・ローテーブル)に鏡台そして大きな棚に備え付けのクローゼットがある。
鏡台の上には化粧品が並んでおり、棚の上にはぬいぐるみ。そして、ローテーブル前二人が座っている。
色とりどりの化粧品とぬいぐるみはこの少し暗めの色をしている部屋に彩りを加えていた。
そんな中二人は何をしているか、それは……、
「うわっ、みやちゃんこれどうなっての?」
「手袋つけてよ。レジン取れないよ?」
「マジ!ありがとー」
「で、どれ?」
「これ!」
そうレジン工作である。都が元々細かい作業が好きで、沢山道具を持っているのだ。
そして、薫は都が好きなことなら何でもいい。だが薫は元来細かい作業が苦手だ。指が絡まる感覚。分かるだろうか? 上手く指が動かないのだ。
「これは、こうして……」
「よしっ。固めるから少し待っててて」と言って立ち上がっり、青いライトの中に薫の作品を突っ込んだ。
その後、薫は都の作業を見ながら、
「それにしても、みやちゃんは器用だね」
「そう?」
「うん。私全然出来ないもん」
「あははっ、物は慣れだよ!」と笑う彼はクシャリとした笑顔がコレまた可愛かった。
「っ、もう固まったかな?」
「少し見てくるね〜」といい都が席を立った。その瞬間薫は手で顔を隠した。
みやちゃんかわいい!あの笑顔近距離で見たら死んじゃうところだった。やばっ
やっぱ天使の生まれ変わり……、いやあれは天から降りてきたに違いない!
そうに決まってる。そう思うよね!
「何してるの?薫」
「あっごめん。考え事」
「そお?あっ固まってたよ!」といい都が前に出したものは、歯車のパーツを中心的に使ったキーホルダーだった。青とオレンジそこに金の歯車のコンビは最高で、電気に当たり輝いていた。それを持って都の顔の前に掲げる薫。
都の顔とキーホルダーを並べて、
「かわいっ。似合うなー」と小さく呟いた薫の声は甘々に見惚れていた。
その青はあどけなさが残るが凛々しい横顔と良くあっていた。
それから二人は黙々と作業を進めた。
と言っても薫は作業に疲れゴロゴロしていたが。
数分後
「よしっできた!」と言った都の声を聞いて薫が、
「やっとだ〜」と背伸びをした。そんなに長い時間やっていないだろうと薫をみて都は苦笑いをした。
そして、都が時計を横目に覗いた。時計はシンプルな木製の物だ。カチカチと機械的な音をたてながら動いている。
「後少ししか時間ないし、次の計画でも立てる?」
「そうしよっか!」と言い薫はカバンからノートを取り出した。
「次のどこ行きたい?みやちゃん」
「次は、夏休みだよね」
「そうだね」
「水族館でも行く?」
「いいじゃん!よしっ決定ダ〜」
「プラン立てるのは任せて!みやちゃん」
「楽しみにしとくね」
といいノートの真ん中には水族館!と大きく読めるか読めないか悩むぐらいの文字で書かれていた。
「明日学校だしもう帰る?」
「そうしよっかな。その前にトイレ借りて良い?」
「うん、いいよ」
と言い薫はトイレへと向かう。都は薫のバックを手に持ち玄関まで来ていた。
「みやちゃん、ここまで持ってきてくれたの?
ありがとうー」とへにゃっと笑う薫。
「どういたしまして」
「バイバイ」
私はドアノブに手をかけてみやちゃんの家を出た。私の家とは違いマンションなので出てすぐに空が見えない。そして恐ろしいほど静かなろう何私の足音が大きく響いた。
ジメジメしてる外を歩きながら綺麗に咲いている紫陽花の前でスマホのシャッターを切った。
そして私が家につきバックの中身を出そうとした時、中に封筒が入っているのが見えた。小さいポチ袋サイズの封筒だ。私のカバンと不釣り合いな鮮やかな色をしていた。
その封筒の中には手紙とみやちゃんが作っていたレジンのキーホルダーが入っていた。
彼にとっての最大限の照れ隠しとして、手紙に、『沢山あるからあげる』と書かれている。そしてキーホルダーは私の髪色と同じ桃色だ。綺麗に濁っていない桃色は美しかった。みやちゃんと会った時の桜のように。
「本当に、可愛いな」そんな私の声は抱き抱えられていたクッションの中へと消えていった。