〈外伝番〉 拝啓 愛する貴方様へ
[拝啓 愛する貴方様へ]
〈拝啓 都様〉
君には笑っていて欲しいんだ。
可愛いものは好きですか?
一人で悲しんではいませんか?
世界は個性を謳っているけど、受け入れなくて、悲しいでよね。
でも、君にはくよくよしてしてほしくは無いんだ。
好きなものを突き通すのは、大変だっただろう。誰にも理解されずに悲しくて、辛くて、泣いた夜もあっただろう。その大きな瞳から溢れた涙の数はきっと多い物だろうね。涙を流した後の大きな綺麗な瞳はきっと綺麗な世界を写し、大きな未来を見据えることができているだろう。君の瞳の中には沢山の苦労や経験が光っていると思うよ。
そんな君の物語は君にしか体験できなし、見ることが物語だ。その君という大きな舞台を存分に楽しんでくれ。存分に踊り狂ってくれ。君は他の人と違う分、長い長い物語になるだろう。
そんな長い長い物語は君にしか読むことができない物だから、好きな事を書けばいいよ。好きな事を行えばいいよ。
人に馬鹿にされることもないし、見下されることも決して無い。
君の判断によって長くなり、もう二度と書い直せない物語は誰にも予想がつかない程の史上最高のミステリーとなるだろうね。
君の中にある物語だから、人に見せる必要はないよ。心の中に秘めておくのが一番傷つかないだろう。安全だと思うよ。
でも、そうしてる限り君の事を理解してくれるひとは現れないだろう。その場合は偽りの君を作り上げるしか方法はないに等しいと私は思う。
君の心の渇きはより乾燥するだろね。
だから君の気分が向いたら、勇気が出たら私に話してくれたら嬉しいなぁ。
否定は決してしないし、無理だったら話さなくてもいいよ。でも言わなきゃ伝わらない事も山ほどあるから、もし必要だったら口を開いてくれ。みやちゃんの事が大好きだけど、エスパーじゃ無いからね。ゆっくりでもいいんだ。
君が見てきた美しくも残酷なこの世界を私にも少しくらい、分けれくれないかな?
その大きな未来が宿った瞳が見た世界を。
私が初めて心から笑い合えた君が見た世界を。
君が君の好きを押し通してくれて本当に感謝してるよ。ありがとう。
だって君のおかげで君の事が大好きな私が、もう一度君に逢えたんだから。
〈拝啓 薫様〉
心から笑える相手は居ますか?
困り事を話せる相手は居ますか?
泣き顔を見せられる相手は居ますか?
いつも笑っている貴方には、偶には泣いて欲しいんだ。
僕に合わせてくれてありがとう。本当に感謝しかないよ。
僕が居なくなった後、どんな思いで過ごしてきたのかな?僕には想像がつかない程壮大なものだろうね。
強がりな君はきっと誰にも涙を見せない様に頑張ってきたんだろうね。どんなに悲しくても、嫌でもずっと笑い続けていたんだろうね。その笑顔は仮面のように顔に張り付いて、離れなかっただろうね。
そんな君だから、僕なんかと一緒に居ては欲しくなかった。いや、怖かったんだ。
昔からその横顔が大好きだった。楽しいとはしゃぐ横顔が、ありがとうと笑うそのや笑顔が大好きだった。それが嘘の笑顔だとしても、心は泣いていたとしてもその笑顔に心を打たれた。これは変えられない事実だ。
でも、僕がもし告白したら? 百パーセント今までと同じ関係には戻れない。
もし君にこの気持ちが伝わるときは、僕の心が解放された時だろう。一生来ないと思っていた。これは僕の夢だ。
だから夢が叶ったから、
偶には我儘だって言って欲しいし、僕に支えられて欲しい。勿論涙も流していいよ。
これは僕の我儘だ。命令じゃない。
でも君が僕に弱さを見せてくれる時が来るのなら、その時は全身で受け入れて見せよう。
君の心を救い出す準備はできたよ。
僕と仲良くしてくれて、ありがとう。
僕を好きになってくれてありがとう。
君には、話したい昔話が沢山あるよ。
僕が初めて好きになった薫には、幸せになって欲しい。これが僕の一番の我儘だ。