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月光鬼語  作者: ゆにお
2/2

(逆回転)

完結です!

私は、鬼に嫁入りしなければならない運命だった。それが村のしきたりだったのだ。

鬼はとにかく醜くて、岩のようにゴツゴツした身体を持っているという。


その胸板に激しく抱かれると、柔らかい肌は擦りむけてしまう。

鬼が満足いくまで動き終わる頃には、こちらの全身は傷だらけだ。

鬼と交わることは、とても人間の女に耐えられるものではない、と。


「しかしお前は、その鬼に肉体を捧げる必要がある。お前でないと、だめなのだ」


物心ついた頃には、村の存続のために耐えよと、母と祖母は毎日のように私を説得した。

恐ろしくてたまらなかったけど、私は嫁入りを決意した。

村人たちは、それを聞いてほっと胸を撫で下ろしたようだった。


満月の夜を嫁入りの日に選んだ。

特別にあつらえた白無垢を着せられた私はひとり、山の頂上で待つ。


鬼の見た目が醜いというのは嘘だった。

すっと面長に切れ長の瞳で、女のような顔つきだった。

身体が岩のようだというのも嘘だった。

引き締まり、しなやかで、腰つきは柳のように華奢だった。

絹のように滑らかな肌をしている。

まるで、白百合のような男。


性器は金棒のようだと聞いていた。それも嘘だった。

そんなものではすまなかった。くいのような持ち物だった。


鬼は私に、脚を開いて自分の上に跨るように命じた。

表面の凸凹につかえながらも、屹立した硬い棒にやっとこさ腰を沈め、私の身体は串刺しのようになった。


鬼は私の両太ももを押さえて離さなかった。

そのまま身勝手に下から動かれ、白無垢ははだけた。

揺れる動きに合わせて、衣ずれのが野山に響いた。


白い布が私の身体を軸に、夜風に吹かれてばさばさとはためいた。

まるで、山の頂に掲げられた白旗のように。


鬼の腹の上には、私から滴り落ちた血が紅く溜まっていった。


これが、私の初夜。

ああ、今でも忘れはしない。まるで真昼のような月夜だった。


《fin》


お読みくださり、ありがとうございました^_^

文学フリマ広島6、がんばります!

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