正回転
お楽しみください!
真夜中頃に目を覚ますと、裏庭にあたって只ならぬ人の声。
「たのもう、たのもう! 真剣勝負に参りました」
おでこにハチマキを巻いた女子生徒二名が日本刀を構え、切っ先を向かい合わせている。
「見届けお願い致しまする!」
片方の女子生徒がそう叫ぶと、両者は稲妻に姿を変え、斬り合いを始めた。
刀がぶつかり合う、カキン、カキンという音。そのたび、火花が飛び散り、イガイガの星がこちらへ飛んできた。
星がおでこにぶつかり、皮膚が裂けて血が出た。痛いったらない!
「きみたち、勝負なんかやめないか! 争いなんて、実にくだらない」
するとふたりは動きを止め、同時にこちらをパッと向いた。まるで般若の形相だった。
そして、刀を振りかぶると、こちらへ突進してきた。
「きええええええーーーーいッ!」
――斬られるッ!
しかし直前で、女子生徒たちが前のめりに倒れた。その頭に隕石が降ってきたからだ。
「うちの生徒たちが、ご迷惑をおかけしました。おてんばぞろいで困ったことです」
星空に裂け目ができて、けむくじゃらの真っ赤な手が降りてきた。
手は、気を失った女子生徒2名をむんずと掴んで回収した。
《fin》
次回で完結します〜