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モリカワールド  作者:
筋肉地区台頭編
30/30

第29話 かく!

 散らかってこそいないが、物で溢れる、趣味をありったけ詰め込んだ統一性のない部屋。特に多いのは小物類で好きな物を好きなだけ飾っている。

 他には目を引くのはモダンな花柄のベッドシーツに、流行りのゆるキャラがとぼけ顔で鼻をほじる座布団。

 作業中だったノートパソコンの側では、ナチュラル趣向の木製マグカップに淹れられた緑茶が湯気を立てている。ということは、現実での時間はそれ程経っていないのかもしれない。

 帰って来た。

 やけに懐かしく感じる自室にモリカは深く息を吸い込んで吐いた。ここからまた始まるのだ。モリカと、彼等の物語が。

 背筋を伸ばした彼女は丁寧に座布団に座る。あちらの世界を過ごした彼女なりの礼儀であった。

 文字を連ねたディスプレイを見てそっと改行するモリカ。そして指がキーボードを叩き、新たな文字が羅列される。


 ≪キャラクター設定【改】≫。


「見ててね」


 きっと素敵な物語をかいてみせるから。

 晴れやかな表情(かお)で執筆に取り掛かったモリカ。少しして、リラックスの為に緑茶を一口飲んだところでふと思う。

 そういえば、最後の騒動に敵組織はどう関わっていたのだろうか?

 あれ程に意味ありげに存在をちらつかせていたにも関わらず、結局奴等は最後の最後に姿を現さなかった。六道青年を操っていたらしいが、肝心の青年は改心してしまったのに。つまり奴等の目的は果たされていないのではないだろうか。


「うーん……謎」


 とはいえ、そもそも謎が多い世界だったので考えるだけ無駄かもしれない。そう思い直してモリカは頭からその疑問を取り払うことにした。

 開けていたらしい窓から爽やかな風が吹き込む。その心地良さに促されるように再びディスプレイに集中したモリカ。

 その斜め後ろ、窓際に、一つのおにぎりの姿……――。




おわり

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