mvp狐コックリさん
■■■21:40/月夜乃外苑■■■
──はい皆さん、こんばんは! 火神です!!
只今、オレ達は月夜乃外苑:内部まで入り込んでます! 警備? 無視しました!
ん? 何で早朝から時間跳んでんだよって??
うるせぇ! ……オレだってなぁ、出来るコトなら明るい時間帯に来たかったさ!
でもな! 出来なかったんだよ!!! 昼間に来ても立ち入り禁止のテープと警備員ばかりで!
しかもだ!!! 近くに隠れて交代する時間を待てども待てども、一向に交代する素振りすら無かったのだ!
ダメ元でこのmvp狐コックリさんに、警備が交代する時間を訊いたら──
『この時間帯で無ければ侵入出来んぞ!』
──って、言われちゃったんだよ! 現にメッチャ余裕で侵入できました、ありがとう狐!!!
「あの……やはり私一人で、お二人までついて来る必要は──巻き込まれでもしたら……」
外苑の中に入って、少し歩いた頃。
そう、物凄く申し訳無さそうな顔で土御門さんが今更な事を言おうとしたので……オレはニッコリと微笑み、
「西園寺の友人と、土御門さんのお兄さんが行方不明になっているのに黙って何もするな、と?」
暗に「もう巻き込まれてます!」と、そうハッキリ告げる。
──まぁ、西園寺の友人は自業自得だけどな? でもまぁ、放置なんて後味クッッッソ悪いし。
他人を助ける理由なんて、それで充分だろ?
「ッ、その……ありがとうございます、火神さん」
「ひ、ひがみぃ〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!」
はいはい、どういたしまして。あと西園寺は暑いから抱きつくな鬱陶しい!
◆◆◆
──外苑に入ってから、三人バラバラに外苑内を捜索して暫く経つが……何一つ手掛かりが見つからない。
ちな、オレ達の組分けは──オレとコックリさん、土御門さんと朱雀、西園寺と犬神&鳳凰となっている。
これは犬神を視る事が出来ない西園寺が「オレ実質一人じゃん!」と、ギャン泣きした為こうなった。
「──まぁ、そんなに簡単に見つかったら……警察がもう事件を解決してるか」
半ば自分の声に呆れながら、試しにコックリさんにも問う。
「因みにコックリさんや、行方知れずの方々が何処に居るのか分かったりする?」
『……いや、この月夜乃外苑と言ったか? から、複数の気配はするのだが、そのどれもが朧げでハッキリとは分からんな』
と、難しい顔で返された。
──ふむ、どうしようか……? 時間はまだあるが、一度集合場所に戻るか??
土御門さんか西園寺が、何か手掛かりでも掴んだかもしれないし…………ん??
『……? 急に立ち止まってどうした?』
コックリさんが訝しげに訊いてくるが──ッ!
──やっぱり!!! 何か居る!
視界の端に映る茂みがガサッ、と、風も無いのに揺れ動く!
『! アレは……動物、か? いや、にしては気配がおかしい。どうする??』
「オレが正面から気を引く。狐は裏手に回り込んで隙を見て捕まえてくれ」
小声でやり取りをし、互いに頷き合うとオレ達は早速行動に移す!
もしかすると相手は、連続失踪事件の犯人かもしれない危険な相手だ。
何をしてくるのか検討もつかない以上、用心しなければならない!
「其処に誰か居るのか? もし、誰か居るのなら出て来てくれないか??」
相手の気を引く為にも、少し大きな声で呼び掛ける。
すると──、
『あら? 気付かれちゃったわ、随分と気配に聡い子なのね??』
──と……やや低く、ねっとりした声で、そう返ってくる。
うん? 何て言うか、声の感じからすると男っぽいんだが……言葉遣いが──?
「……えーと、貴方は何者なんだ? 人間では、無さそうだが?」
『うふふッ。モノを訊ねる時は自分から名乗るのが筋ではn──んぎゃわぁあ"ぁあああッッ!!?』
『よし捕まえたぞ!!!!!』
何者かの絶叫と共に、コックリさんの声が上がり……茂みから何かが勢い良く飛び出して来る!
──いや、よくよく見ると、
『ちょッ! バッ、アンタ何処触ってんのよッこの変態!!!』
『煩い暴れるな! この、大人しくしろ!』
……狸…………だ。あと狐も。
狐が、暴れる狸のモフモフした尾にしがみついているのだ。
そして狸も狸で、
『イヤァーーーーーーーーーーッッッ!!! 離しなさいよ乱暴しないで! 暴力反対!!』
と、オネェ口調で叫び、ジタバタと地面に転げ回っている。
──え? 何でオネェ口調なんだって?? 性別が分かったのか? ……って?
うん。一目見ただけで分かったよ、だって、その……ジタバタ暴れてるのと同時に、見えちゃったからね?
ナニが……って、えーと──ご立派な、●●が。さ!
見てくれてありがとうございます!! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします( ´∀`)