連続失踪事件
◆◆◆
「コホン──えっと、話しを戻しますけど……コレは少々マズい事になっているかもしれません」
と、真剣な顔で土御門さんは話しを続ける。
「私のお兄ちゃ──バイト仲間なんですけど、実は、市からの依頼で月夜乃外苑で起こる連続失踪事件を調べていたんです」
──うん。いま明らかに「お兄ちゃん」って聞こえた気がするけど、何も言わないでおくね? 続けて。
「最初の失踪事件が8年前、当時、小学一年生だった男の子が行方知れずになっています」
「付近でも捜索が行われ、誘拐などの線も含め警察が調査をしましたが現在に至るまで、何も発見出来ていないそうです」
──あ、そのニュースならオレも知ってる。
確か──両親と月夜乃外苑に来ていた男の子が、両親が少し目を離した隙に居なくなった……と。
テレビでも、その男の子の両親は涙を浮かべ……何度も何度も頭を下げ、情報の提供を呼び掛けていた。
「そして先月。二件目の失踪事件が月夜乃外苑で起こり、小学三年生の少年と、その母親が行方知れずに」
「二件目の事件から僅か二日後、少年とその母親を捜索していた捜索隊の方が一人──失踪しています」
『──成程、それは確かに妙じゃな?』
モゾモゾと鳳凰が、菓子入り鞄から這い出て告げる。
──うん。確かに妙だな? なんでお前の嘴に、菓子の残骸が大量に付いているのか説明を求めても??
『? お前、誰チュン??』
だがオレが問い詰めるよりも先に、焼鳥が鳳凰へと問いを投げる。
すると、偉そうにモフモフの胸を張り──鳳凰は堂々と告げ──ッ
『ワシの名は鳳凰じゃ! 何なら特別に、鳳凰様と呼んでも良いz──』
『まぁ、お前みたいな黄ばんだ鳥に興味は無いチュン! アタチの事はプリティ朱雀様と呼べチュン!』
〜〜〜ッ紹介したのにw 黄ばんだ鳥てwww
『誰が黄ばんだ鳥じゃッ!!? 貴様なんぞ羽を毟られた【自主規制】ではないか、この【自主規制】鳥!』
『ヂュ!? 誰が【自主規制】鳥でチュって、そっちこそ【自主規制】な上に黄ばんだメタボ鳥でチュン!』
「──もうムリ、お腹痛い……w」
「ちょッ!? 朱雀落ち着いて! 火神さんも笑ってないで止めるの手伝って下さい!!!」
◆◆◆
──それから数分……何とか興奮する二匹? 二羽? を落ち着かせ、鳳凰に話しの続きを促す。
『お主、次にその悪意ある呼び方をしたらガチで呪うからな?』
「ごめんて。で、妙って何が妙なんだ?」
ジロリとつぶらな瞳で睨んでくる黄ば──鳳凰様(笑)に問う。
え? いや、何も言い掛けて無いデス、変な言い掛かりはおやめ下さい鳳凰様!
『はぁ。まぁ良い……光よ、お主は少しもおかしいとは思わんのか? 一つの場所でコレほど多くの神隠しが起こる事、そのモノが妙じゃ。何かあると見た方が良い』
──まぁ、確かに。
最初の一件だけであれば、行方不明になったのは小さな子ども一人……だから様々な原因が考えられるが、
二件目と三件目に至っては、子どもと親、そして捜索隊の人間が一人。
──小さな子どもだけならいざ知らず、『大人』まで失踪するか? それも続け様に……。
しかも、行方知れずになった西園寺の友人だってそうだ。
──そう考えると、
「確かに、妙だな? 西園寺、一応訊いておくが……お前の友人って小さな子どもとかでは、無いよな??」
「当たり前だろ!? 同級生だよ!」
……ですよね〜。
じゃあ尚の事、妙だな?
「行方不明になったのが全部で五人……その内、大人が二人に、高校生が一人って──」
「──あ、すみません。私のお兄……バイト仲間もなんで、正確には全部で六人です」
………………HA?!!??
「へ!? あの、えッ??? つ、土御門さんのお兄さん……基、バイト仲間の人も行方不明なの?」
「はい。私が退院した時には、もう……」
──あー、訂正! 六人、全部で六人です!!! にしても、土御門さん落ち着き過ぎだろ!?
それにバイト仲間って事は、
「それって、現役の陰陽師ですら解決出来なかったってこと!? そんなのどうすればいいんだよ!!?」
西園寺が吼える! そうソレが言いたかった!!!
『陰陽師と言っても奴は所詮、土御門家四兄妹の中でも最弱……チュン!』
と、何やらカッケー台詞を吐く焼鳥。
「こら朱雀! お兄ちゃんを悪く言わないで!!! 玄武君にも言われてるでしょ!」
『あの亀野郎は苦手チュン! ゲームでもイモりプレイばかりしやがってチュン!!!』
何だろう、陰陽師の業界ってちょっと楽しそうだな……あと、式神もゲームとかするんだ。
◆◆◆
『おい……話しが脱線しているぞ』
『キャン!!!』
と、顔を覗かせたコックリさんと犬神にやや強引に会話をルート修正されつつ、どうするかを話し合う。
「──とは言え、実際に行ってみるしか選択肢無いのでは?」
と、言ったオレに対し……、
「それは難しいかと。連続で人が失踪している場所ですし、警察も警備や巡回をしているのでは?」
「──ああ、下見に行った友人が言うには、立ち入り禁止のテープがしてあって、警備の人も居たって」
二人は難しい顔を向けて来る。
──あれ? でも……
「? あれ? 西園寺、じゃあお前の友人達はどうやって肝試しに行ったんだよ??」
そう問うオレに、
「確か、警備の人が交代する時間を見計らったって言ってたぜ。それがどう──まさか!」
──ああ。その『まさか』だ。
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