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ふたりの魔法使い  作者: 柴零
4/7

魔法陣

ユイの魔力が目醒めることなく中学3年生になったある日、夜に両親が書斎に入ってから出てこなくなった。


以前から時たま書斎に籠ることはあったが、翌日には必ず出て来ていた。


不審に思ったユアが魔法でかけられた鍵をこじ開け、扉を開けるとそこに両親の姿は無く、両親が何かしら使ったであろう魔法陣が光り続けていた。


「これは!この魔法陣は確か...!まさか、お父さんとお母さんは...!」


ユアは自分が出来る限りの魔法で父と母を助けようとしていた。

だが、ユアの魔法ではどうにも出来ることではなかった。

魔法を使い続けるうちに、自分が魔法陣に吸い寄せられていることに気がついた。


「まさかこれっ...ダメっ!」


トントントン


朝ごはんを準備していたユイが階段を上がって来た。


「ユア?何があったの?お父さんとお母さんは...?!」


開けっ放しのドアから、ユイは部屋を覗いて驚いた。

そこに両親の姿は無く、魔法陣に吸い寄せられる姉のユアの姿だけだったのだ。


「ユイ!!来ちゃダメェ!!」


「えっ...」


下半身がすっぽりと魔法陣の中に入ってしまったユアは、ユイが魔法陣に取り込まれないようにドアの部分に魔法をかけ、ユイがこれ以上部屋に入れないようにした。


「ユア!?!」


直ぐにでも助けに行こうとしていたユイだったがユアの魔法によって部屋にすら入れない。


「ごめん...ユイ。出れ...な....」


そう言いながらユアは完全に魔法陣に取り込まれてしまった。


「ユアアアァァァァァ!!!」


ユイはひたすら自分が部屋に入るのを拒む見えない壁を叩いて絶叫した。


ユアが取り込まれた直後、魔法陣の中から新たな魔法陣が現れ、ユアを飲み込んだ魔法陣を包み込むほど大きくなった。

2つの魔法陣はお互い稲妻のような光を放ち、暫くして光を失った。

空中に浮かんでいた魔法陣は消えたが、ユアを飲み込んだ魔法陣は光を失ったものの、形は保たれたままだった。


どの位の時が経っただろうか。

ユイを部屋に入る事を拒んでいた見えない壁は跡形もなく消えた。

時間にして5分も経ってはいなかったが、ユイにとってはとてつもなく長い時間に感じられた。


急いで部屋の中に入り、ユアを飲み込んだ魔法陣を叩いた。

光を失った魔法陣はユイを取り込むことはなかった。


「ユアを…お姉ちゃんを返して!!!!」


頬を涙が伝う。

昨晩書斎に入ったきりの両親も姿が見えない。

恐らく両親はユアが取り込まれた魔法陣に取り込まれてしまったのだろう。

昨日まで家族が仲良く暮らしていた家は、ユイ1人だけになってしまった。


「お姉ちゃん!お母さん!お父さん!みんなを返して!!!!」


魔法陣を叩きながら叫んだ。


自分の魔力が覚醒していれば、吸い込まれた家族が戻ってこれる魔法を使えたかもしれない。

そう考えてしまうだけで魔法を使えない無力な自分が許せなかった。


魔法陣を叩いた手からは血が流れ始めた。

それでもユイは魔法陣を叩き続けて叫んだ。


「返してよおおおおお!!!!」


ユイの体が急に熱くなった。


「…っ?!なに?」


熱さとともに、眩い光がユイから発せられ、その光は魔法陣に吸い込まれていった。


ゴォォォォォオオオオ


凄まじい音が鳴り響く。


数秒程ユイの光を吸い込んだ魔法陣は自ら光り始めた。


しばらく光続けていると、黒い大きなものが出てきた。


恐らく何かの生き物だろうが、ユイとは逆の方向を向いているため顔が分からない。


頭らしき部分が出始め、体全部が魔法陣から出た瞬間、もの凄い勢で屋根を突き抜けて消えていった。

その時の爆風により部屋の隅に飛ばされたユイは気絶してしまった。

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