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ふたりの魔法使い  作者: 柴零
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双子の誕生

古くから伝わる魔法使いの掟は3つあり、1つは魔法を悪用してはならない。

これは魔法に限ったことでは無いが、悪に手を染める事は許されない。

多くの人間が平和かつ平穏に暮らす為には必ず守らなければならない。

犯罪や戦争にも勿論魔法は御法度である。


仮に悪事に手を染めた魔法使いが居れば、他の魔法使いが悪事を働いた者に制裁を加え、関わった人間の記憶を操作して魔法がある事自体を闇に葬り去る。


2つ目は魔力の無い人間に魔法使いである事はバレてはいけない。

魔法を使えない者からしたら羨ましく思う者もいれば、悪用しようとする者も必ず出てくる。

そうならない為にも普段から魔法使いである事は皆隠して生活している。


そして3つ目。

双子が誕生した際はどちらか一方を亡き者とする事。


双子が生まれた場合は、魔力が分かれるとされており、魔法使いの一族では双子は忌み子でどちらか一方を亡き者とする風習がある。

双子が生まれた魔法使い達は1人にするために1人を殺したり、運のいい子はひっそりと誰にも気付かれずに里親に出されたりしていた。

勿論誕生した際の医者や看護婦の記憶は、魔法で改竄など朝飯前だ。


そして現在、全国津々浦々に居る魔法使いはお互い犯罪等悪事に魔法を使うことには目を光らせてはいるが、双子に関しての掟については時代とともにあれこれと言う者は殆ど居なくなっていた。


地方でも比較的都会な街に、魔法使いの一族の末裔が暮らしていた。

最近では魔法使いも減り、夫婦のどちらかが魔法を使えない普通の人間も多いが、この夫婦は2人とも魔法使いであった。


夫婦の両親は既に他界していたが、お互い支え合い、幸せに暮らしていた。


数年後の小春日和。

おしどり夫婦のもとに双子の姉妹が誕生した。

双子と言っても大事な娘に変わりはない。

両親はふたりとも溺愛していた。


姉の名前は龍泉(たつみ)ユア

妹の名前は龍泉ユイ


2人とも黒髪ではあるが光に当たると、姉のユアが紫がかった青色に、妹のユイが緑がかった青色に、少しだけ漆黒の中にも色が見えるのだ。

また、瞳も日本人にしては珍しい琥珀色をしている。

グローバル化の進んだ今では、色んな肌や目や髪の子が沢山いる為、いじめの心配はなかった。


初めてユアが魔法を使ったのが1歳の時。

妹のユイがベッドから落ちそうになったのを魔法を使って助けたのだ。

通常より早い魔力の目醒めに両親は驚いたが、愛する娘であるユアもユイも分け隔てなく育てていた。


両親は双子に関しての掟や風習は特に気にしていなかったが、魔法は使い方を誤ると大変なことになるため、魔法を使えないユイも一緒に魔法についてしっかりと教え込んだ。


小さなユアは魔法を使うことが楽しく、家の中でよく魔法を使い、その姿を間近で見ていたユイは、自分も早く魔法を使いたいと思うようになっていた。


しかし、通常魔力が目醒め始める5歳になってもユイは魔力が目醒めなかった。


日常生活では、魔法を使うことは特にないが、魔法を暴走させないために姉のユアは毎日専用の書斎に1時間程篭って練習をしており、一方ユイは魔力が目醒めるように、自分なりに集中力を高めたりと、色んなことを試していた。

勉強や運動も努力し続け、ユアも比較的優秀ではあったが、ユイは首席になった。


2人の得意分野が違う事で、魔法を使えなくてもユイがユアより劣っていると感じにくくなっていたが、両親も姉も魔法を使えるのに自分だけ使えないユイにとっては、幾ら成績が優秀であっても、劣等感に苛まれる日々が続いていた。

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