幕間 魔素ってなあに?
しばらくして機嫌の治ったヒカリは、肩に乗るわたしの様々な質問に答えてくれた。
その中でも、これは後に物語の根底に繋がる知識となるのだが、この時はまだ知るよしもなかったのである。
「魔素って何なのだ?」
聞きなれない言葉だ。
「魔素か。あれは、魔法とかを起こすのに必要なモノだ」
「ゲームのMPみたいなやつ?」
「そんなものかな。この世界は魔素こそが文明の根幹ともいえる」
ちょっと歴史の授業みたいになってきた。
「〝魔素〟は何でもありなんだよ。火を起こしたり、風を起こしたり、物質に置き換わる事もある。更には生き物に突然変異を引き起こす事もな」
「う、うん」
「この世界のあらゆる技術は魔素の力の上に成り立っている。前述の特性上、これから不思議なものをたくさん見るだろうが、驚かないでくれよ」
話がよくわからなくなってきたケド、ヒカリがあまりにも嬉しそうに語るものだからつい相槌をうっていた。
「……チカ姉、俺の話分かってないね?」
一瞬でバレた。
「噛み砕いて説明すると、『魔素は大概の奇跡ならなんでも起こすビックリドッキリ万能要素』だ」
なんか小バカにされてる気がするけど、わたしだってそれくらいわかるもん。今分かったもん。
「何でそんなモノがこの世界にはあるのだ?」
「さあな。そういうもんだったんだろ。じゃ、行くか」
なんだか釈然としないまま、ヒカリはわたしを肩に乗せて歩き出した。