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ファストフード店の怪事件

ヒオリちゃんは後に超重要キャラになる予定です

「おはよう!一華ちゃん!」


 後ろからわたしの名前を呼ばれた。

 この娘の名は、待雪(まつゆき)ヒオリ。彼女は幼少からの付き合いで、俗に云う親友(マブダチ)である。


「おはよう、ヒオリ」


「なんか元気無いみたいだケド? また腐った揚げパンでも食べてお腹壊したのー?」


 いや、あれはトラウマになった。なんか変な味するなーと思いながらも食べたら、それからもう三日三晩トイレから離れられなくなった。


「だから揚げパンは2度と食べないと心に誓った!」


「そんなに元気なら食中毒じゃないね……ケド、何かあったの?」


「そうなのだ。ちょっとコレ見てほしいのだ」


「手紙? 一華ちゃん宛の?」


 その手紙は灰色の封筒に入っていて、封筒にわたしの名前と家の住所が書いてあるが、送り主の情報は書いていない。


 ―――――――――――――――――――――――


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 ―――――――――――――――――――――――


 ククク… わたしは朝からこの手紙を見て気分が悪くなったからお前も道連れに気持ち悪くなるがいい!(理不尽)


「何コレ? イタズラ?」


 あれ? 思ってたよりドライな反応なんですケド。

 もっとキモがるかと思ってたけど……まあいいや。


「朝ポストを見たら、コレが20通くらい入っててさ、イタズラなのだろうが、本当に気色悪いのだ」


「……」


 おや? ヒオリが何か考えこんでるぞ? これはやっぱりこの手紙が気持ち悪かったのかな。その証拠に顔をしかめている。


「気持ち悪い思いをさせてごめんな!!お詫びに放課後、ワクドナルドで奢ってやるのだ!!」


 わたしってば寛大。ホント人間の鑑だな。


「お金は自分で出すから結k「「決まりだな!!放課後行こうな!!」」


「はぁ…はいはいわかりました」


 なんか呆れられてる気がするけど、多分気のせいだ。きっとわたしの器の大きさに感動しているのだろう!


 おっと、そうこうしている内に学校に着いた。



 わたし達は校門を抜け、下駄箱で履き替え、教室へ向かう。

 そうすると廊下に一列に並んだ男子共が一斉に

『三春さん!待雪さん!おはようございますっ!!今日もお美しいですね!!!』

 と、深々く頭を下げてくる。


 何なんだろうコイツら…? 毎朝こんな調子で、別に悪い気はしないし、強いて言えばちょっと暑苦しいくらいか。

 いつもやってくれてるし、ここはわたしの寛大さを見せておこう。

「おはよう!今日も朝からお疲れ様なのだ!」


『……ッ!!ありがたき…っ!お言葉…!!』


 えーと、なんか凄い感動してる……?

 なんか涙浮かべてるやつもいる。ヒオリは何やらクスクス笑ってるし、これはつまりわたし(脳筋)に理解できない感覚なのかな。

 あまり深く考えず、そろそろ教室に入ろう。


「それでは皆様、ごきげんよう」


 ヒオリがそう言った途端、男共の何人かが鼻血を噴き出したのが、わたしには関係無い話だ。


 こうして今日も日常(授業)が始まる。




 ***




 放課後、ヒオリと二人でワクドナルドなう。


「ねぇ、今朝の手紙の件、覚えてる?」


 手紙…? なんだっけ? えーと、……あぁ思い出した! 今朝の文字化けお手紙か!!


「手紙? アレがどうかしたのか?」

 わたしがそう言うと、ヒオリは少し顔をしかめてから口を開いた。


「実はね、少し前にわたしの弟宛で同じ手紙が届いていたの」


 ヒオリの弟に? アイツ最近引きこもってて、わたしとヒオリ以外には会ってないハズ。昔の知り合いか何か?


「ケドね、その手紙には、一言だけ文字化けさせていない単語があって、それは――――




 ドスッ!!


 え?



 突如わたしの背中に強い衝撃と冷たい感覚が走った。



 *



 それは切先。刃渡り50cmはあろうかという日本刀の先端が、一華の背中から胸にかけて貫き出て、鮮血がそこから噴き出している。

「え……? 一華ちゃん?」

 ヒオリの制服は一華の血液で真っ赤に染まっている。

 一華とは違い聡明なヒオリは、瞬時に状況を把握した。

(一華が何者かに刺された!!血が…!!急いで止血を…!!救急車を!!)

 しかし、状況を把握できたからといって、何かができるという訳ではない。


「「キャアアアアアアアアアアアア!!!!」」


 ファストフード店内に響きわたる悲鳴。パニック。


 一華を刺した黒コートの男は、一華の胸から刀を引き抜き、それを自身の喉元に突き立て、床に崩れ落ちた。一華も同様に、椅子から床に崩れ落ちる。


「誰か止血を!!!友達が!!血が!!」

 ヒオリが他の客に助けを求めるが、誰もヒオリの声に耳を貸そうとしない。皆、自分の事で精一杯なのである。

 そもそも、もはや手遅れというのもあるが…


「もしもし!! とっ、友達がっ! 背中を刺されました!!出血がひどいです!!場所は××街の――――」






 ――――――寒い……


「一華ちゃん!!意識を保って!!諦めないで!!」


 ヒオリが…何か言ってる……


「救急車呼んだからね!!頑張って!!死なないで!!」


 ああ、そうか…わたし、刺されたのだ…


「そうだ、今度また裏山の神社の蛍を見に行こう…?よく一緒に遊びに行ったよね…だから…お願い……」


 あはは…初めて見たのだ… ヒオリの泣きそうな表情(かお)


「嫌だよ、嫌だ!!行かないで!!」


 そうだ、一度……ヒオリが泣いてる所……見てみたかった…のだ…


 ……………………


 …………


 ……



 ――



 そうだ、思い出した。わたしは死んだんだ。

 いきなり背中を刺されて、それで――


 だとすると、これは最近流行りの転生というやつだろうか。

 しかも、よりによってこんなヤバそうな化け物に。

 これからどうやって生きるのか、とにかくここを出てから考えるとしよう。

 

 わたしは自分が空けた部屋の大穴にこの醜い体をねじこんだ。

次回 迷宮を攻略するみたいだケド、広すぎない?

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