大丈夫、一人じゃないよ
死を恐れぬ男
私は今…電車の中で監禁されています。
なぜこうなったかと言うと…
一時間前…
「この電車は我々が占拠した!!」
そう言って銃を持った人達は電車の中のおばあちゃんや小学生の子供たちを脅し、金品を奪い、電車を運転している車掌さえも脅し私達は監禁状態となりました。
無論、ケータイや外部へ連絡できる物は取り上げられており何も出来ない状態でした。
時は今に戻り…
突然トイレのドアが開くとそこには黒い学ランを着た生徒…私の席の隣の春山君が居ました。
「瑞穂…お前そんなところに座って何してるんだ?」
「春山君の…う、後ろの人に監禁されてるんです!」
「監禁?」
ゆっくり後ろを向く春山君の後ろには既に拳銃を持った人がいました。
「手を上げて金品とケータイ今すぐだぜ」
「なぜ出さなければならない?」
「俺らが欲してるからだ!いいから出せ!!」
「嫌だ」
「抵抗するなら殺す」
「春山君!大人しく指示に従ってください!!」
「持ってて瑞穂」
そう言った春山君は私に学ランの上着を私に渡すと
「ふっ…」
拳銃を持った相手に殴りかかり銃を奪いました。
「ほら、これでどうすんだ?」
銃を取られた男の人はすぐ仲間のところに戻り仲間の人達と共に再び先程の男の人たちは来ました。
「おまえ…随分舐めた真似してくれたなぁ!?」
「お前らこんなことして警察じゃ済まないぞ?」
「そんなもん怖かねぇよ!!」
そう言うと春山君に拳銃を向けました。
「春山君!逃げて!!」
「大丈夫だよ、瑞穂」
そういうと春山君はゆっくり相手の元に歩き
「殺せよ」
「は?」
「ほら、殺せよ」
すると春山君は男の人が構えている銃の銃口を自分の口に入れました。
「お、お前!!何してやがる!!」
言うこと聞かなきゃ殺すんだろ?ほら、殺せよと私には目でそう言ってるように見えました。
すると銃口から口を離し春山君はにっとわらい…
「根性無しが…こうするんだよ!!」
そう言うと持っている拳銃を自分に向け撃ったのです。
「春山君!!」
そこには赤い血溜まりがありました。
「きゃあああ!!!」
電車内は一気にパニックになり、もう何が何だかわからない状況になってきました。
春山君の傷はみるみるうちに塞がり銃で撃った傷は消えていました。
「ば、化け物!!!」
電車の中はパニック、そして車掌は駅で止まり止まった瞬間ドアが開くと警察が銃を持った人間を次々に捕まえました。
春山君は電車から降りたので私もあとに続き降りました。
「は、春山君!!」
「瑞穂…どうかしたのか?」
「学ラン忘れてるよ!」
「ああ、ありがとう」
私から学ランを受け取る春山君。私はなんて声をかければいいかわかりませんでした。
「…気持ち悪かったろ?」
「え?」
予想外のことを聞かれ変な声のトーンで答えてしまったので慌てて口を抑え…
「き、気持ち悪いってなにが?」
「傷が塞がったりすること」
「別に気持ち悪くないよ?ただ、ちょっと驚いたけどね」
「嘘つかなくていいよ、もうお前にも関わらないから」
「嘘じゃないよ!!」
「俺はおまえと違って化け物だぞ?」
「化け物だってカッコイイよ!」
「だけど…俺は…この力で人を殺めたこともあるんだ。」
「…!」
私は春山君の秘密を知り頭を何かで殴られたような衝撃を受けました。
「俺は一人でいなくちゃならないんだ。」
悲しそうな顔をする春山君…私は…
「大丈夫、一人じゃないよ」
そう言って私は春山君を後ろから抱きしめました。
「春山君は今までずっと一人で苦しんでたんだよね?」
「でも大丈夫。上手いことは言えないけど…一人じゃないよ」
「どんなに辛くても私が傍にいる…春山君は私のヒーローなんだから」
すると春山君は声を抑え泣いているのがわかりました。
「…大好きだよ…春山君…私を助けてくれてありがとう…」
そして私は春山君の正面に行きキスをしました。
私のファースト・キスを春山君にあげました。
でも後悔はしていません。
春山君と…ずっと一緒に居たいって思えたから…。
こうして私と春山君の物語は始まったのです。