プロローグ
プロローグ
メール離れし、SNSブームが当たり前になっている今日、俺はボールペンを持ち、自分ができる最大限の綺麗な字で、紙に文章を書く。
「久しぶり。そっちはどうだ? 寒いか? 暑いか? しんどいか? 楽しいか?
って質問ばっかじゃうざいよな。
こっちは元気にしてる。お前が卒業して、もう少しで一年になるから、みんな卒業ムードだよ。俺、堅苦しいの嫌だから毎回気分が悪くてさ。
ってそんな話はどうでもいいな。大学なんだけどよ、お前が目指すって決めてた所に受かった。今年の初めは、絶対無理って担任に言われてたけど、努力? まぁ才能だな。俺がちょっと勉強したら受かるんだよ。
他のみんなは、まぁあいつは留年したからまだだけど、それ以外のやつは自分の希望通りに事が済んでるみたいだよ。
今更だけど、いきなりこんなことしてなにって思うよな。とりあえず受験が終わって落ち着いたから、 会話?じゃねぇけど、話できたらなぁって思って書いてみたんだよ。正直手紙って返事がないから、俺の思いの一方通行みたいで挫けそう。けど頑張るぜ。たくさん話したいことがあるから」
そこまで書くと、俺は一度ペンを置いて思い返す。
多分、一寸の狂いもなく、俺のこれまでを思い出す。