#001・5 『作品の回想』
彼女は夜の闇と共にいる。
セルリアは、この辺りのバーで、一番の美女だった。
酔漢達は彼女の踊りに魅了される。
この街では、彼女がまず、魔人の犠牲者になった。
声を掛けられて、首の後ろに痛みを感じ、そのまま気絶してしまった。
気が付くと、手術室のような場所にいた。
†
セルリアは、身体を少しずつ刻まれていくのが分かった。まず、脚の肉を削がれていく。自らの肉が剥き出しになった。両腕は鎖によって天井から吊るされている。服は剥ぎ取られ、下着だけの姿にされていた。いずれ、この胸と下半身を覆う薄布も取られるだろう。
鋭いナイフが光った。
彼女は皮膚を剥がされていく。
剥き出しの筋組織が露になる。不思議と血は流れない。痛みだけはある。苦痛は発狂しそうになる。実際、彼女は狂い始めていた。
痛覚が止まっていく。
しばらくの間、彼女は失神していた。
数時間くらい経過した頃だろうか。
視界が明瞭になっていく。
姿鏡が飾られていた。
彼女は、自分の姿を垣間見る。
まるで、首から下は人体模型のような姿へと変わっていた。何故か、血が流れない。自分は生きているのだろうか? 死人なのに意識がある状態なのだろうか?
そう言えば、痛覚を感じない。
痛覚を感じさせる何かを止められているような気がする。麻酔でも掛けられているのだろうか。けれども、どうにもならない恐怖だけはあった。
自分の身体は、もう元には戻らないのだと分かった。
脚の先から激痛が襲ってくる。やがて、それは脚の上へと這い上がっていく。
彼女は余りの激痛の余り、再び、気絶する。
彼女は心の底から祈る、自らの命が終わりを迎える事を。
†
ベレトは女達を強姦してから、殺害する。
性欲よりも、支配欲なのだろう。
まるで、当たり前のものとしてそうするのだ。そうする事によって、最初の傷を入れるのだ。自分の素材になったような気がするのだ。
解体する前も、解体中にも、性的な凌辱を行う。そして、彼女達のその苦痛がより強い刺激となって、創作意欲を喚起させるのだ。
作品は増え続ける、死体を、花や木や、貝殻や宝石、ありとあらゆるもので、肉付けしてやろう。情熱は、絶え間なく続いていく。