チートされる方はやっぱりむかつく
ケチャップは店員さんがくれる訳じゃなくてセルフになっていたので使うのを忘れた。
だから本当に辛いかどうかはわからない。
次の行き先をペナン島と決めて翌朝宿を出る。街の名前を省略してるのか知らないが、アルファベット三文字でバスターミナルを現すらしい。UCCというところに向かえばいいような事を聞いたので歩いて行くとまずTBSに行けと言われる。
乗車口にいたお姉さんが、ペナンまでならあのおっさんに言え、というのでその小汚いおっさんと話すと、60リンギットだという。
「いらん、TBSで買うからいい」
「お前はここで買わないとダメだ。さもなくばペナンまでは行けない」
「本当かよ、何だそのシステム」
高いから負けろというと55まで下がった。
そいつは俺の払ったお金を別のデブの男に渡すと、デブがどこからかチケットを持って来た。
額を見ると40と書いてある。
騙された。
「|40リンギットじゃねーか《It's only 40 ringgit!》、返せ!」
騙された。
誰も信じない、そんなつもりでいたのにまさかこんな所で簡単に謀られるとは。俺ちょろい。
歯軋りをして睨みつけるが、おっさんはどこ吹く風でこれは買ってきてやった手数料だから仕方ねーんだとか、払っちゃったもんは返せねえ、だとかぬかしやがる。
穏便に済ませる気は無いようだ。
回し蹴りを放つ準備をしてる間に奴は手を振って消えていった。
こっちは荷物を背負っているのだ。走って追いかける事も出来ない。アイテムボックスかインベントリ、あれマジ必要装備だ。
腹は立ったが、致命的なダメージを負った訳じゃないので今回はヘタレる事に決めて、諦めた。
しかもバスに乗ると2リンギットを請求されて、|もう払ったわ!《I already paid!》 って言ったのにTBSまでは別と懇切丁寧に説明される。
Why!!!!
100倍して4分の1だから円にして大体1000円のところ1400円くらい取られた計算だ。
もちろんTBSに着いたらそこでもチケットを買えたし、見たらなるほどもっと安いようだった。
クソが。
しかもなかなか来ない。制服の職員にまだか、と聞くとこのチケットは正規のバスのじゃないから分かりまへん、と。
「大丈夫これ?」
先にカウンターでハンコはついて貰ったから、まさか全部詐欺ってことはなかろうと、不審ながらも待っていたら2時間後にラフな格好のおっさんに呼ばれて、行ったらやっとバスがいた。
ペナンまでは7時間くらい高速をぶっ飛ばして何の問題なく付いた。
ターミナルから徒歩でフェリー乗り場まではすぐだった。ペナン島に渡る代金は1リンギット20セントの筈が、係員はなぜか1リンギットで通してくれた。
全然取り返せた気がしない。
夕方、宿を探すが考えていたところが見つからなくて、予約もしていなかったので適当なところを選んだら失敗だった。
エアコンなしの相部屋24リンギット。
窓に網戸が張ってなかった。
夜中。多分マラリアの蚊と、バトルロワイヤルを繰り広げながら寝た。
悪夢を見た。
※予告※
繰り広げられる深夜のバトルに敗北を喫したなろう主、痒い二の腕を掻きながら島中をバイクで駆け巡る。そして出会った欧米人の女の子の素晴らしい体つき。
次回『ハーレムの奴とか』人は美しいものを見るために旅をするッ!