バスルーム
声が
まあるくなって
溺れていく湯船
言えなかった
言葉は泡
癒えなかった
言えなかった
澄んだ碧色してる
入浴剤
排水口から
続いていく世界よ
聞いていますか
誰も泣いてはいません
磨り硝子の向こうの
あたたかな隣人の窓
湯気で曇る鏡
擦っても
擦っても
消えない身体
たっぷりとしたお湯に
沈めたかなしみが
また浮き上がって
儚く消えて
その淵から溢れて
排水口から
続いていく世界よ
聞こえますか
誰も泣いてはいません
言えなかった
言葉は泡
癒えなかった
言えなかった
だから
そっと手で掬う