弐
「いつでもかかってこい、小僧」
ギルドマスター、ジェイスは大きな剣を肩に担ぎならが挑発した
「気ー抜いてると、毛皮にしちゃうぞ、熊さん」
享楽も背中に担いでいる剣を一振り、抜きながら同じく挑発した
そして両者が動かないまま時間がたった
その間にも両者は攻防を行っていた
むやみに動けば殺される、人との戦いは力だけでは勝てないのをジェイスは知っていた
だからこそ、先手を取らせる様に挑発した。
だが、小僧は動かなかった。人との戦いには慣れているということか。
ならば仕掛けるか。
「フッ!!」
ジェイスは一気に享楽との間合いを縮めて肩に担いだ大剣をそのまま振り下ろした
肩に担ぐというのは彼の構えだったのだろう
その速度は常人では来ると分かっていたとしても動けなかっただろう、それほどに速かった
しかし享楽は反応し、構えている様に見えない剣で斬り上げた
そのままジェイスと享楽の剣は交わろうとした
「っ!!」
瞬間、享楽は一気に後ろに間合いを離した
その顔には焦りが一瞬だが見えた
「どうした避けた、小僧」
ジェイスは余裕そうに言った
「いや、剣が壊されそうだったから」
享楽は剣を見ながら言った
その剣には亀裂が入っていた
「武器破壊っ、ははっ、どんな技だよ」
享楽は笑いながら亀裂の入った剣を眺めていた
「新しい剣に替えてもいいぞ」
享楽は亀裂が入った剣を捨て、新しい剣を抜きながらそう言った
その顔にはもう焦りがなく、逆に余裕が見えた
亀裂が入った剣は地面に触れると同時に折れ、
「はっ!」
享楽は動いた
剣筋は先ほどと同じ、斬り上げ
「フッ!!」
ジェイスも同じく振り下ろした
そして
剣が交じり合い
ガキィ
享楽の剣が折れた
享楽はまた剣を抜き
「さあ次、だ!!」
斬り上げた
「フッ!」
ジェイスも同じく振り下ろした
それが何合と続いた
「おい!小僧!何を考えている!!」
ジェイスはキレていた
同じことを何回もされていれば誰だってキレるだろう
「何も、ただ面白いことを」
また剣を抜き
「考えていただけ!」
また斬り上げ
ジェイスの顔には失望が浮かんでいた
「うぜぇ!!」
また剣が交じり
キィィン
また享楽の剣が折れた
「な、なんだと!?」
そしてジェイスの大剣も折れた
「ほら、剣を変えなよ」
享楽は背負っていた剣の入っていない鞘をばらまく様に捨て、
「今度は本気で行くからさ」
剣を抜き、今度は構えた
その瞬間、
ゾワァ
ジェイスは酷い寒気がした
「楽しませろよ、熊さん」
それと同時に懐かしさを感じた
「ふっ」
ジェイスは少し笑みを浮かべ、
置いてある武器の中で唯一鞘に入っていた剣を抜いて構えた
「かかってこい、小僧」
ジェイスの持っていた得物は普通より少しだけ等身が長い剣だった
「斬り伏せてやる!!」
「斬り殺してやるよ」
どちらも殺気を立たせながら
「クソ小僧!!」
「熊野郎!」
両者は相手に向かって駆け出し、
「はあっ!!」
「はっ!」
第2ラウンドが始まった
書いてる自分も続きが気になるミステリー。
感想コメント、お待ちしてます。




