男同士の作戦会議
「不審者?」
ある日のこと。何故かはわからないが二人きりで話をしたいという友助の誘いに乗り、放課後、屋上にて話を聞くことにした。そして、話というのはどうやらこの学園に不審者が出ているらしい、という話だ。
曰く、物陰からじぃっとこちらを見つめているかと思い、覗いてみればさっと気のせいか…と首を傾げる。偶然かと思いそのことを友人と話すと、似たようなケースがいくつもありこれは…と、いうことらしい。
「いや待てそんな不審者本当にいるのか?」
「その疑問はもっともだ。が、その不審者が直接的な行動に出たことがあってな。まあ流石に騒ぎになりかけてそれからぷっつりと大人しくしているらしいが」
それは薄暗く人気のない放課後。通学路を歩く女子生徒の前に現れた。警戒心が強かったのか姿を現さず声だけ響かせたらしい。まあそんな状態で会話になるわけもなく女子生徒が悲鳴を上げるとすぐに逃げたらしい。
そして、手がかりらしい手がかりはそれだけだったらしい。相手の素性も何もわからず、女子生徒自身すらも目的ではないらしい。だが、その不審者が投げかけてきた問いにその目的が垣間見えた。
そう、帝崎明日香をどう思うか―――という問いに。
「明日香のことを探っている何者かがいる、と?」
「うむ。まあ俺が動くのは学園の平和を守りたいがためであり彼女に思うところがあるわけではないがな」
「時々思うがお前は一体何者なんだ?」
「武人というのはそういうものだ。徒に戦乱を撒き散らす者ではない。そこらに散らばる争いの種を萌芽せぬうちに摘み取る者…と言いたいところだが平和な世の中には過ぎたるものでな。それでも己が誇りを掲げんが為に駆けずり回り、首を突っ込むことも厭わぬのだ」
そうかぁ武人ってのも仕事が無くて辛いんだなぁ…と言ってやると友助はそうだなと大笑いした。
「さて聞こうか我が友よ。お前はどのように動く」
にやりと笑いながら尋ねてくる。
「俺は…明日香の為に動く」
「ほう…何だ? とうとう身を固める覚悟でもできたか?」
「そんなことは関係ない。俺は明日香のことが気に入ってるそれだけだ」
それでこそだ、と。俺と友助は拳を合わせた。