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婚約者が突然現れたのだがどうすればいい?  作者: 山崎世界
橘霞編:恋に恋して乞いをして
22/51

緊急開催!第二回チキチキとき☆めき婚約者だって女の子だもん(はぁと)会議ポロリもあるよ(男子禁制)

男子禁制なので霞さん視点です

はいすみません語りきれないのでこのような形に後、不定期ながら更新遅くてすみません

「バッカじゃないの」

 私が愛希さんたちに今までの非礼を詫び、私の考えることを明かし、返ってきた言葉に私はびくりとしてしまいました。

「ふむ。随分と容赦がないことだな」

「はっ!? 違うから! いや違うこともないけど…えっと…その…」

 えっとえーっと…と愛希さんは考え込むようにして、

「それもこれも全部バカ兄貴が悪い!」

 そして弾けるように叫びました。

「ある意味間違っていないな」

「ふふ…ですね」

 あの後…真一さんと別れた私は、愛希さんと明日香さんに呼びかけ、真一さんにしたように、私自身の話をすることにしました。

 そして、愛希さんの提案で私達は寝間着に着替え、夜通しお話をすることになりました。

 真一さんが隣にいてくだされば…と想う気持ちが無いわけはないのですがパジャマパーティ…というのでしょうか。こうして皆さんとお話をする機会に憧れていたという部分もあり、了承させていただきました。

「愛希さんの言いたいことは分かります。ですからそうお気になさらないでください」

「ん…」

 何と言うことも無く、こんな単純で、簡単なことであったのだと。心を塞ぎ籠っていた私の手を引くように、叱るように接してくださる。本当に…ありがたいことだと思います。

「さて、聞く限りによると、霞はどうやら色恋の探求のために色々と収集しているようだが」

「あぁ…そう、ですね」

 お恥ずかしながら、いつも部屋の奥深くに仕舞ってあるのですが。小説や詩集、漫画なども含めそのようなものを集めるのが私の趣味らしい趣味、と言えます。

「ふむ…」

 どうしたのでしょう? 明日香さんは何やら深く考え込んでいます。

「明日香…ひょっとして興味あるの?」

 愛希さんは少し嬉しそうにしながら身を乗り出してきます。

「そうだな。生憎と今まで興味の外ではあったし正直、分からんと切り捨てようという気持ちもあるのだが…」

「…それではいけない、と思った」

 明日香さんはむ? と顔をしかめました。

「失礼しました。お気に障りましたか?」

「いやそう気にするな。お主の言うとおりで、少しばかり面白くなかっただけだ」

 明日香さんはバツが悪そうに一つ溜息を吐きました。

可愛らしい姿だな、と少し微笑ましくなってしまいましたが、私が偉そうに言えることではありません。

「皆さんに会えてよかった」

 結局の所、それに尽きるのだとそう思います。

「私は…こうしてお友達と話をさせてもらうことはあっても、恋のお話をすることはありませんでした」

 普通の恋の話は出来ないと。私の心には、まだ知らなかった『婚約者』がいて、出会いに心を弾ませて、想いを募らせることもないと。そう…諦めていたから。

「では何故、今こうしてここにいる? 同じ想いを抱えるからこそ、出来る、と?」

「いえ。それは違います。どうしようもなく違うのだと、そう気付いたからです」

 だって、何一つとして変わりはしないのです。いえ、私は、私達の関係は多分に特殊だとは思うのですが、それでも。私達は出会って、好きになって。そういう大事なことは、私が内心憧れながらもどこか遠ざけていたものときっと変わりはしないのです。

 そのことを知らずに、分からずに。きっとこうであるのだろう、と私が思ってきたものを真一さんに押し付けていました。

 けれど…真一さんは、私も放棄してしまった私を、受け入れようと、分かろうとしてくれました。

(真一さん…)

 だから私は、こうして胸を熱くすることが出来るのでしょう。

「まああれはあれでとぼけた男だとも思うがな」

「そうね。あれに本気で腹が立つこともしばしばだわ」

 あはは…と私は苦笑します。

 少しだけでも、その抱き締めてくれる手が強ければ、他の誰より私を見てくだされば、と。じれったく思う気持ちがあったりします。けれど、真一さんの人となりを考えるとどうにも期待できないような…それでも愛おしいと思ってしまう私自身に気付いて、また苦笑します。

 そういえば…気になることがありました。それは、容易に聞いてはいけないこと、と分かっているのですが…どうしても気になってしまいます。

「あの…お二人は、真一さんが言う失敗、に心当たりがありますか?」

 

『ただ大切だと思うだけだ。それと恋心ってやつの区別はつきやしない…いや違うな。つける必要があるのかとそんな風にすら思ってる。そのせいで大失敗して、今も引きずってる』

『失敗、ですか?』

『さすがにな…おいそれと当人同士以外で話をしてはいかんとそんなこと弁えているからその辺は割愛しよう』


 そこには、想いがありました。真一さんを曲げてしまうような。心配…いえ、きっと嫉妬ですね。そんな風に、気になってしまう何かを。私は

「さて、あいにくと知らんな」

 明日香さんははっきりと断じました。

「我との間にあることではないと思うぞ。我は、失敗であることを許さない。仮に何か深い傷があったのだとしても、それは確かに必要な一歩であったのだと、そう定める為に、生きる。もしも我との間にある出来事であれば、少なくともそう軽々しく失敗と口にはしないだろう」

「…この際だから聞くけど明日香ってバカ兄貴のことどう思ってるの?」

「さて、それは我にも未だ見えぬ問いだな。いや、我の前に立ちはだかった問いそのものであると言えるだろう。あぁ勘違いするな…不快なものではないのだ…これ以上はまあ分からんな。ただ…」

 大切だと思っている。考えるまでも無く、寄り添って、並び立っている。真一さんと一番、価値観が近いのは、明日香さんかもしれませんね。

 いささか気になりはしますが…

「あー…あはは」

 明日香さんも一緒になって目を向けた先にいる愛希さんは、頭を抱えるようにして目を逸らしました。

「…うん。私だわ」

 愛希さんも静かに言い切りました。真一さんに対する申し訳なさ、そして真一さんの心に食い込んでいる、と言う自負の両方を感じました。

「さて、質問を返そうか。愛希。お主は真一のことをどう思っている?」

「…好きよ大好き」

 観念した、と言わんばかりながらも、はっきりと言い放ちました。

 それに、私は少し面喰ってしまいました。そして、同時に少し悔しい、とも。

「ふむ…それは兄妹として、という気持ちも合わせて、か?」

「それはない! 私は……」

 わたしは…と、次第に声が小さくなり、歯切れも悪くなりました。

「うーん…でも、どうなのかなぁ…分かんなくなってきた」

「ふむ…門外漢が余計なことを口にしたようだな。済まぬことをした。やはりどうにも心というものはよく分からぬな」

 明日香さんが頭を下げ、愛希さんは慌てて手を振り、頭を上げさせました。

「というわけで霞。お主の所蔵品を少しばかり貸してほしいのだが」

「…そ、そう、ですか」

「…いや、気が進まぬ、と言うのであれば無理にとは言わんが」

 いえ。そういうわけではありません。感想を語らいたいだとか、そういう動機もあって、貸すことに異存はありません。ただ…

「少し…は…恥ずかしい、かと」

 私は思わず体を縮ませてしまいます。

「あぁ…もう! 霞さんは可愛い!」

「きゃ!?」

 愛希さんが、私を抱き締めてきます。私は、なすすべもなくしばらく為すがままでした。


 そして、暫くして電気を消そうか、と言う時の会話です。

「霞さんって結構恥ずかしがり屋なのね。目立たないようにっていうのもそんな本性が出てるのかも。けど…それなら何で私達にこう明かそうって考えたの?」

「それは…お恥ずかしながら真一さんに背中を押されました」


そんな心配はないとは思うが…責任を取る。絶対に霞さんは孤独になったりはしない。必要も無い。だって霞さんが好きな俺がいるから


「真一さんがいてくれるなら、それでいいのかな、と。いえ…むしろ」

「お主…」

「どうかしたの? 明日香」

「…いや、何でもない」

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