始まり:橘霞の暴挙
短いですすみませんそれといろいろ露骨です
「…あれ?」
朝、目が覚めた時に感じたのは違和感だった。
「おはようございます」
その声は、日常の様に自然だった。なんてことの無いようなそんな声は、しかしこの状況にあまりにもそぐわず、つまりは不気味だった。
「えぇっと…何だこれは」
違和感の正体を推察する。そうだ。俺の身体は何故かベッドに縄でくくりつけられていて、身動きが出来なかったのだ。
「どういうことかな霞さん」
「ご安心ください」
あら? 会話になってない。
霞さんの目を見る。光を失い、すがるようなそんな瞳。
そんな目で俺を見ないでほしい。どうにかしたくなってしまう。
「あぁ…真一さん…あなたはどうして」
「霞さん?」
ガタガタと俺は抵抗する。
「真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さん真一さ…」
そうこうしている内に霞さんの様子がまた変になってしまった。
顔を真っ赤にして、くらくらと熱でもあるみたいに体を揺らす。
霞さんのほっそりとした掌が俺の肩に触れる。そして、ゆっくりと、俺の頬に唇を触れようとして…触れない。その拍子にふにゅり、と胸…否おっぱいが俺の胸元で潰れるのを
「!…!!」
声にならない叫びをあげて、しかしごくりと息を呑み、開き直ってより近づいてくる。どくどくと確実に寿命を縮めんと、お互いの心臓の鼓動が激しくなっているのを感じる。
えっと…何だ。何なんだこれは?
「それ位にしておけ」
「きゃ!」
やれやれだ、と。いつからか部屋に入ってきた明日香が溜息を吐きながら俺の縄をほどいていった。
「それで…何だったのだあれは」
さて何だったんだろうな。とリビングに移動した俺達はお茶を一すすりした。
「バカ兄貴…いつかやると思ってたけど…」
「待て俺はやられた方なんだが」
と、弁明を述べようとしたものの、はう! といつもよりも縮こまり申し訳なさそうにしている霞さんを見てどうしたものかと言葉を切る。
「あぁやだやだヤンデレ属性まで人に強要するバカ兄貴のHENTAI性は底が知れないわ」
それは当てつけなんだろうか、とは流石に言えない。
「まあいいじゃないか。時間はたっぷりとある休日の一幕だ。なら、たまにはこんな使い方もいい」
そう。これは、霞さんのことを知るための必要な一歩だった。




