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婚約者が突然現れたのだがどうすればいい?  作者: 山崎世界
帝崎明日香編:出会った日から
13/51

帝崎明日香の始まり

回想です地の文の視点が変わります

 そう、あれは十年ほど前、近所の遊園地に出かけた時のことだ。

『…』

 誰もが彼女のことを遠目に見た。見ているだけだった。子供ながらに恐ろしく、睨みつけるような視線に、誰もが目を逸らした。

 両親が嫌いで仕方が無くて、離れようとして。そして、望みどおり離れたというそれだけの話なのに…まるで、迷子の様に寂しくて。心細かった。赤く、暗くなっていく世界が、ひたすら恨めしかった。

『どうかしたのか?』

 しかし、そこに声を掛ける影があった。

『おぬしにはかんけいない』

『かんけいなくはないな…なんてーのか…その…ねざめがわるい』

『…?』

 何を言っているのか、分からなかった。

『いいからいくぞ』

『なんなんだ…なんなんだおぬしは!』

 そして、その影…男の子は、その手を引いて、観覧車まで連れてきた。

『ぇ…』

『お願いします!』

 係りの者がドン引きしてるのも無視して、二人は、観覧車に乗り込んだ。

『…おぬしわれがこわくはないのか?』

 沈黙に耐え切れない、という風に彼女は声を掛ける。

『ん? そりゃこわいけどさ』

『だったら…!』

『しかたないじゃねえか。ほうっておけなかったんだから』

 仕方ない? 仕方ないと言ったのか。自分の周りは、変えようのないことばかりで、仕方のないことばかりでけれど、それを認めたくなくて周りを睨みつけていた少女は

『だったら、こわいのくらいはがまんすればいいだけだしな』

 しかし、何かを言おうとして、何も言えなかった。

 目の前の彼は少しだけびくびくとしていたのに気付いた。ずっと…しかしそれでも前に進もうとした。

 強がりだ。自分だって強がってばかりいる。けれど、彼との違いは何なのだろう、と問いかけた。何故、目の前の存在はこんなにも安らぐように…強いなぁ、と。そんな風に感じてしまうのだろう、と。

『なあ…そのおめんとっていいか?』

『…だめだ』

 そして、何でこんなにも目をキラキラさせていられるのだろう、と。

『…』

 少女は、ずっと考えていた。

『そっか…えっと…みえるかな?』

『なにがだ』

『ぅお!? びっくりするからいきなり近づくな』

 はぁはぁ…と慌てる様に飛び退く様に少しだけしてやったり、と。ほくそ笑んだ。

『ここからみれば、おやたちみつかるかなってさ』

『ふむ…そうか』

 しかし、彼女の瞳は、光を取り戻した世界に、見惚れるばかりでただ空返事をするばかりだった。


 そして、いつか、二人は迷子ではなくなって。それぞれの帰路についた。

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