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ZERO 第一部  作者: 栂屋総一
ZERO 第1部 栂屋総一編
10/37

#10 ルイン

――ルイン。


それは例のCDに収録されていた音源の作曲者であり、演奏者。社長からは遠い知り合いとしか聞かされていない。


「あぁ。頭痛っ。」


時計の針はもう1時を過ぎていた。

結局、飲み屋の後、カラオケに行き、朝までコース。


昼過ぎまで寝るなど久しぶりの事もあり、学生時代に戻ったような感覚があった。


「昨日は楽しかったなぁ。」


なんて、思い出しながら、携帯を確認すると真琴からメールが入っていた。


――昨日はありがとう!楽しかった!また3人で飲みに行こう――


顔文字の1つもない何とも殺風景なメールに真琴らしさを感じる。


そのメールの最後に


――ルインの事もよろしくね――


とあった。


昨夜の会話の中で真琴は、あのCDには″何か″を感じると言っていた。


――感じる。


そこには、真琴の家である九曽神家のことが深く関連している。九曽神家は、元々「イタコ」の血筋らしいのだ。


イタコとは、死んだ人の魂を自らの体に口寄せし、あの世とこの世の媒体に自らがなることで、様々な問題などを解決するという、都市伝説のような存在。


――もうそれこそ、大昔のことらしいんだけどね


と真琴は言っていたが、そのせいか代々、いわゆる「見えないものが見える」人が生まれているらしい。


「真琴もそうなのか?」


と僕が聞くと


「まぁね。」


と、真琴ははぐらかすような返事をしていたが、それが嘘かどうかなど、問題ではない。


――ルインとは何者なのか?


僕が営業する上で、これは重要だ。今まで、おもちゃを取り扱っていたこともあり、ブランドは気にしても、製作者など気にしたことはなかった。


――こちらこそ、楽しかったです!また行こう!あと、ルインの事は社長に聞いて、また連絡します――と真琴に返事をした。


――あのCDには"何か"ある。


それは僕も感じていた。


その鍵を握っているのは当然のことながら、ルインという人物……。そんなことを考えていると背筋がゾクッとした。


――ルインの事は調べても大丈夫なのか?


僕はそんな疑問を真琴に聞くことはせずに、心に閉じ込める。


癒しの音楽という存在から、少しずつ意味が変わっていっている事にその頃の僕は気付いてもいなかった。

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