設定資料
本作の設定資料です。随時更新します。ネタバレを多く含みます。
『時代設定』
辺境の小さな星間国家が舞台。住人はアルカイン(ヒト)系のみ。
かつては植民惑星だかったが、度重なる全滅によりどの国も植民を諦めた経緯がある。生き残った人々が互いに手をとりあい、やがて本国とのつながりなど忘れられてしまった時代にいわゆるケセオ・アルカイン事件が発生。ドロイド由来の丈夫な子どもたちの誕生により急速に安定し、惑星国家としての体裁を整えてきた。
つまり、現時点での住人の多くは純粋な人間ではなく、人工生命体の因子が混じっている。
『地球文明、地球種族との関連』
一切なし。そもそも地球は現時点で宇宙文明を持っていない。
『ソル』
どこかの未開惑星らしいが、何しろ交流がないので情報がまともに伝わっていない。
『鉄拳ラビ』
この渾名がどこから出てきたかは不明。主人公が演じていたヒーロー(女性体だが)であり、後に主人公自身となったもの。空を飛んだりはできないが重格闘戦ドロイド『ベルナ級』のボディを持っている。その外見は小柄な少女。
なお当人は鉄拳と呼ばれるのを嫌っている。友だちになりたいならラビと呼ぶべきだろう。
超ハイスペックの肉体を素人が駆動するという色々な意味で危険な存在であるが、主人公はもちろんラビとして戦いに出る前に厳しい自主訓練を自らに課してきた。当然これが急速に主人公の命を削っていったわけだが、ヒーローになる事が一生の悲願だった主人公は全く躊躇する事がなかった。
リモコンでなく自分の肉体になってからは、自身の脳がハイスピードになってしまったので負担はなくなる。ただし所詮は素人訓練である。生き延びたあかつきには再訓練が必要だろう。
本物のヒーローになれた反面、強制的に爺さんから少女にされ人生やり直し、おまけに妙な奴らに目をつけられる。これが「老後」とは、中の人もなかなかにネタまみれの人生である。
なお、ラビとはロディアーヌ郊外の砂漠に住む昆虫の名。その生態は地球にいるスカラベという虫によく似ており、スカラベ同様に「死から再生する生き物」としての伝説がある。堅い甲羅をもち不滅と再生の象徴でもあり、地味だが底力のある強い虫でもある。主人公はこのラビが好きでヒーローの名に採用したが、色々な意味で皮肉な名であるとも言える。
『名無しの老人』
生涯を二流のエンジニアとして生きた平凡な男。
ただでさえ残り少ない命を『ラビ』として活動するために急速に消費、モルガン姉妹との出会い直後にとうとう寿命が尽き死亡。
そして仮死状態のうちに人格転送機にかけられ、ラビそのものとなって復活させられた。
たとえ死ぬ事になろうと「ルール違反しながら正義の味方などできない」と言い切るほどのガチガチの正義漢。もちろんこんな不器用な生き方では大成できるわけもなく、彼の人生は推して知るべしだった。だが、奇跡のような偶然の果てとはいえラビという強大な肉体を得た彼は、口先だけのヒーローからフェイクとはいえ実際にヒーローとなり、そして最終的には本物のヒーローへの道を歩き始める。
『ミ・モルガン』
呼称はミミ。
銀髪に紫の瞳。正体不明の渡来人の少女。身元を証明し保護者になってくれたロディアーヌ警察署長ク・モルガンの義妹となり、その仕事を外部協力者として手伝っている。一般には署長の妹という属性の方で見られているが、その能力は決してあなどれない。
バカっぽい態度でふにゃふにゃしているが、それは単に性格や言葉の問題で、知能も高く判断力も優れている。ただし倫理観にいささか問題があるのも事実。異星人のせいなのか過去に何かがあったのかは不明。
数々の特異な能力を持つが、当人は『異星の魔法』であると説明している。解析を行うグループもあるようだが、通常の文明とは全く異なるロジックで組み上げられているものらしく、その作業は難航している模様。
なお、肉体女で精神男という主人公の面倒な立場もまるで意に介さないが、これは単に彼女がバイセクシャル、つまりオトコもオンナもオッケーというだけの話である。
またルークの方から、とある危険人物の疑いをかけられている。
このように背景こそ怪しさ全開であるが、味方にすれば心強い存在でもある。
『ク・モルガン』
呼称はクリンだが本人が嫌がるので大抵はフルネームか役職「署長」で呼ばれる。ブロンドヘアの美しい女性で、普段は警官の服でなくレディススーツを着ている。(ただしこのスーツは軍用の防弾素材でできている)
ロディアーヌ警察署長である。ロディアーヌ市は議会はあるが市長がおらず警察署長が兼務する事になっており、ある意味「表の支配者」である。だが女の身で署長をしているだけあり、人望の高さと人脈の厚さは半端ではない。ルーク団とも独自のパイプを持っているようだ。
『ルーク団』
戦争中から活動していた廃品業者で、今もこの地方第一の多角経営企業グループ。
今でもいち企業であるにも関わらず本来役場のする仕事をルークがやっている事が多々ある。
反面、談合などの嵐になっているが、そもそもロディアーヌ市自体、ルークの構成員たちが荒野に集まって生まれた街。したがって談合という言い分はむしろ政府筋視点のものにすぎない。要は身内同士で、手作りで街を運営しているという方が正しい。
正式に市として名乗りをあげた時、国家の介入により警察が組織された。しかし派遣されてきた中央派遣の警察官たちは街の事など考えなかった。そもそも国は上意に従わず独自の政治組織まで持つロディアーヌを普通の自治体に作り替えたいと思っており、そういう人間ばかり派遣されたためである。
当然だがあっというまに反感を買った。やがて中央キャリア組の初代署長が放逐されてからは、代々この街の人間から署長や上層部は決められるようになった。そして彼らは例外なくルーク団と共同戦線をはる。この街の人間なら当然のことであり、これはラビがルーク支持者である事とも矛盾しない。
『ベルナ級ドロイド』
白兵戦型ドロイド。銀河連邦規格で言うところのαアルバ五型に相当する。連邦では最終的に軍医級の代名詞となったが、ベルナ級は本来の五型の性質である「究極兵士」のコンセプトを強く残している。空を飛ぶような奇想天外な能力は持たないが、生身の格闘戦スペックでは事実上の最高レベルといっていい。なぜなら、これ以上の戦闘力を引き出しなおかつ「ひとの姿」を維持するのはあまり合理的ではないからである。事実、これ以上の戦闘力をもつヒト型というと六型や七型であるが、既にこれらのそれは格闘のカテゴリに分類できないものと化している。
なお格闘戦というものは技術であり身体スペックが高ければ強いというものではない。
実際、生身の武道の達人にベルナ級が倒される事はしばしばある。だがこれはあくまで達人レベルの話であり、通常兵士以下ではベルナ級に勝つ事は非常に難しい。ゆえに連邦などで本来の五型が前線兵士から医療系に回されていく中、白兵戦が重視されたエリアではベルナ級が長く生き残る事となった。
『ジョリバ』
ルーク団側の地域担当官のひとり。ミクトの上司。
だが実態は周到な準備の元に政府に送り込まれた情報将校。ラビを監視してその情報を送るのが仕事である。これには弱点をつき破壊する方法も含まれる。
実は結構損な役回りなのだが、これはジョリバという名前のせいでもある(どこのジョリバさんのオマージュかわかるかなー?無理かな?)
『ミクト』
ルーク団の青年。本来は地域担当官になれる存在だが役職がついていない。謎が多いが、どうやら見た目通りの歳ではなさそう。色々と秘密がありそうだ。
ラビが非常にお気に入りのようである。
『ダイヤモンド徹甲弾』
わかる人は少ないかもですが、昔のTVアニメのオマージュです。ダイヤモンドの弾丸の前に一度倒されたヒーロー……と言えばマニアな方ならきっとおわかりになると思われます。
本来ダイヤモンドは硬いは硬いだろうが、いろんな意味で徹甲弾には向くとは思えない素材です。しかし一部の銀河文明圏ではこの欠点を克服したものが使われているようです。それでもやっぱり特殊用途のようですが。こだわりで使うタイプの弾丸であり、ゆえにダイヤモンド徹甲弾使いは『冷たい狙撃手』とも言われています。
『種族について』
銀河系の筆頭種族はアルダー族といい、それは爬虫類タイプの人類である。ゆえにイーガ、つまりアンドロメダでは銀河系の事をトカゲの銀河と呼ぶ。
第二位はヒトタイプの人類で、これをアルカイン族、または短くアルカと呼ぶ。第三位は猫タイプで、これをアマルー族というが、始祖がアマルダンキィ・ソロンという名前だった事を受け、アマルダンキィ族と呼ぶ地方もある。ただしアルカインもアマルーもアルダーに比べると数は少ないので、両者あわせてもアルダーの数には遠く及ばない。
『地域、気候について』
この星は大きく分けると五つに分かれているが、ひとが多く住むいわゆる経済圏は三つである。その中でも『南方』は最も広大なのだが、赤道を挟んだ灼熱の砂漠と海、そしてその間に挟まれた暑いエリアというのがロディアーヌの基本的な姿である。もっとも巨大なレシナンテ大陸の中心部がまとめてロディアーヌに含まれているため、これらの地域にはもちろん高山などの寒冷地域が含まれる。その意味ではこの星で最も気候のバラエティに富んでいると言えるだろう。余談ながら、もっと南に立派な文明圏があるのに南方と呼ぶのはもちろん歴史的経緯によるものだ。
だがその多様性に比べて生活レベルは決して高くない。ロディアーヌといえばこの星では貧乏の代名詞でもある。もっとも地下資源は豊富である事、広大な土地がある事から、極地などから輸送された原材料を加工する全自動の工場プラントもあちこちにある。また戦争の際に戦場になりやすいのもロディアーヌである。そして、こういう事実があるからこそ、ルーク団のような独自の業者も大きな力をもつわけだし、さらに人種なども非常に多様であり差別も少ない。ここで生きる以上みんな同胞という意識の方が強く、長屋的なコミュニティも非常にできやすい。
若者はしばしばこうしたコミュニティ傾向を嫌がるものだが、いざという時に信用できる者が近くにいるのも事実。これに代わる安心はないわけで、実際、住民の満足度は高い。
『ケセオ・アルカイン事件』
本シリーズ第一作『α』とその続編にあたる『銀の四番』にあたる事件を銀河系レベルで見た表現。
銀河レベルの大事件であり、いろいろな解釈と賛否両論が存在する。