エピローグ
エピローグ ~消えた光~
まるでひと夏の幻を見ていたかのようだった。思い出すたびに胸の奥が締め付けられる。耐えがたいほどの激痛を覚える。
忘れてしまえばどれほど楽なのだろうか、けれど忘れてはいけないんだ。
過去を積み重ねていくからこそ人は未来へと進むことができるのだから。過去を消し続ければそれだけ後退いていくということだから。だから乗り越えて進むんだ。
修羅の道だろうと、蛇の道だろうと。
「また思いだしてるの?」
縁側で雲を眺めていたら後ろから声をかけられた。
「あんなすごい出来事簡単に忘れられるか」
振り向くことなく話し続ける。
「結果的にどうにかなったんだからいいじゃん」
「あのな、そういう問題じゃないんだよ」
外に向けていた身体を回転させて後ろに振り向く。
「ゆうあ」
「じゃあどういう問題なの?」
小首をかしげて訊いてくる。
「もしあのままお前が本当に死んでいたらって考えると、やっぱどうしても怖いんだよ」
「ホント奇跡だったね」
そう言って胸元にある白い水晶ようなネックレスに触れる。
「イノに感謝だな」
「うん、そうだね」
慈しみの籠ったゆっくりとした声。
季節外れの雪が降った。
触れれば消えてしまうけれどとても温かい、光の雪が。
無数に散らばる雪の中に一つだけ、一際大きな光が降ってきた。
ゆっくり、ゆっくりと、時間が止まっているのではないかと錯覚を抱かせるほど、穏やかに、静かに落ちる。
落ちてきた真っ白の光の球が音もなく爆ぜる。
中にか幾つもの傷負ってはいるものしっかりと息をしているゆうあがいた。
眠っているかのように静かな呼吸、それをみんなで黙って見つめる。
自然と零れる笑顔と涙。
耐えていたものが、堪えていたものがすべてあふれ出た様だった。
そして掌に一つのものが握られていた。
穢れを知らない、どこまでも、どこまでも白い水晶の様なもの。
それが微かに発光していた。
その時直感でわかったこれは、イノの新しい姿なのだと。
ゆうあを守るために、自身を犠牲にして、守り抜いた栄誉ある形なのだと。
これが2週間前に起きた出来事。
まだ色褪せていない、これからも色褪せることのない出来事。
「まぁ、何はともかくゆうあが無事だったことは本当に嬉しいよ」
ポンポンと頭を軽く叩く。
「ゆうあも嬉しいよ」
もう見れなくなるのではないかと一度覚悟させられた最高の笑顔。
「あんた達何してんの」
声の方向に振り向く。
「だから二葉、何度言えば玄関から普通に入ってくる!」
「いいじゃん、今日はこっちから入りたい気分だったの」
靴をささっと脱いで勝手に上がる。
「なんだ、もう二葉も来ていたのか」
「おはよう」
少し遅れてから廉哉と智癒も縁側の方から入ってくる。
「だから、お前たちもなんで玄関から入ってこないんだよ」
「「気分で」」
見事なシンクロですね。
「付き合いだしたからって見せびらかしてよ」
先週堂々交際宣言をしてきやがったんだよ、こいつ等。
「「いいでしょ」」
「はいそうですね」
口先では怒っているけれど、内心では微笑んでいる、なんせこいつ等は最高に似合ってると思うからな。
こんななんでもない、平和な生活。
大きなハプニングや、事件などは時ない日々。
だけれど、だからこそ、最高何だと思う。
この素晴らしき平和は日々が本当の、ゆうあの齎したた幸せなのだと思う。
どうもこんにちは337(みみな)と申します。
今回は『光からの贈り物』 を読んでいただきありがとうございます。
本作品は空想科学祭FINALに投稿した小説となっております。
早速ですが言い訳タイムに入りたいと思います。
この小説ではタイムスリップの方法でワームホールを使った物にしてみたのですが、この方法は間違っていると思います。まぁ、この世界ではこれができるんだ、と思っていただきたいです。タイムスリップを扱う上で、色々調べた(主にwiki先生)のですが、さっぱり理解できませんでしたね。所詮は文系ですよ。調べてみたら相対性理論(アーティストですか?)やら、宇宙ひも理論(これゾンで名前聴いた)やらと出てきました。まぁ私の頭では理解できませんでした。
もうひとつ、最後の方で光輝が物騒なことをしておりますが、絶対に真似はしないでください。できるかどうかはわからないですけれど、危険なことは確かなので、念のため注意しておきます。もしあんなことができたとしたら確実に警察沙汰になりそうですね。
本当はもっと長々と書きたいですが、後書きなのでこのくらいに抑えておきます。この後、活動報告で色々書くつもりなので、そちらの方に書きたいと思います。
それでは、長い本編、長い後書きとなりましたがここで終わりにしたいと思います。
それでは読んで下さった方々ありがとうございました。
337でした。