数日後
あれから数日がたったある日のことだった俺はある噂を聞いた。それは、真里菜に告白していた男子がほかの女子を振ったということだった。しかも、最後の台詞が
「おれ・・・真里菜一筋だから・・」
こんな言葉が真里菜にも変な噂が飛び火した。そして、放課後、校門で真里菜を待つ例の男子の姿があった。そんなことも知らずに帰ろうとする俺の前を真里菜が歩いていた。
「真里菜さん。」
そう言って近づく例の男子
「おれ、本気です。」
その時だった真里菜は俺に気付いて俺の方を見てプイッ視線を外して彼の手をとった。その瞬間、俺は固まってしまった。何も考えらず、ただ、その光景に怒りすら覚えた。
真里菜・・・行くな・・・
そう心で祈っても、二人は去って行った。
気がつくと俺は真里菜の家の前に立っていた。しばらくして、真里菜は帰ってきた。俺を見つけた真里菜・・・俺を無視して家に入ろうとした。俺は思わず真里菜の手をつかんだ。その手を見て真里菜は、怪訝な顔をして
「何よ」
「待て」
「なぜ?」
真里菜への反論が出来ない俺だったがつかんだ手を離さなかった。
「離してよ!!」
そう叫んで真里菜は俺の手を振り切った。そして、家に入ろうとした。
「待ってくれ!!」
「だから・・」
真里菜は戻ってきてあきれた表情で俺を見た。言わなきゃ・・俺は、必死に声を絞った。
「お・・おれ・・」
だめだ・・声が出ない・・・俺の様子を見ていた真里菜の目が優しくなって俺を見つめた。
「お・・俺・・」
いざとなるとこ・・声がでない・・焦る俺・・
「・・・」
緊張している俺を真里菜は目を潤ませ指を組み祈るようにじっと見つめていた。
「ま・・・まり・・・なの」
俺をジーと見て一言一言に頷く真里菜
「真里菜のこと・・・す・・・」
その瞬間だった。
「何してるんだ。お前ら」
後ろから声がした。
ドキ!!
俺と真里菜はその言葉で慌てて離れた。振り向くとそこには陽太がいた。陽太はニヤニヤしながら、俺と真里菜を交互に見た。そして、
「お前ら・・・なにしてるんだ」
「な・・なにって・・」
黙る俺と真里菜
「怪しいな・・」
「あ・・・」
声もなく俯く真里菜、俺も何も言えなかった。
「いちゃつくのもいいが、家の前ではやめろ!!」
「あのなぁ~!!」
「お兄ちゃん」
そして、陽太は、俺達をおいて家に入ろうとした。
「じゃぁ・・おっと・・・付き合うのいいが、ちゃんと避妊しろよ!!」
「な・・何を言うんだ!!」
「お兄ちゃんのバカ!!」
「ジョーダンだよ。ジョーダン・・じゃぁな!!」
そう言って、陽太は家に入って行った。
取り残された俺達には気まずい空気が流れ、横に並んでお互いをチラチラ見ていた。なんてこと言うんだ陽太のやつ・・・そう考えていると真里菜の口からボソッと寂しい響きが伝わってきた。
「家に戻るから・・・」
「ああ・・・」
「今日は・・・」
その後の声が聞き取れなかった。俺はとぼとぼと歩いてその場を去った。
家についた俺・・・
メールを打った
「ごめん・・・」
やがて真里菜からメールが帰ってきた。
「バカ・・・」
俺は、今日は言えなくてごめんと思っていたのに・・・
真里菜の返事は・・一体・・・