帰り道
真里菜が去った後、俺は家に向かってとぼとぼと歩いていた。
バチーン!!
俺の後頭部を衝撃が走った。
しばらく頭を抱えてうずくまる俺
い・・・いて・・・
「何やってるんだ?」
ふと見上げるとそこには陽太がいた。
「おまえな~」
「まぁまぁ~」
両手を前に出し俺を制するようににこやかに答える陽太に対して、どつかれた怒りの矛先は全て陽太に向かった。
「大体だな~!!」
俺がそう言いかけた時だった。俺の後ろから声がした。
「お兄ちゃん」
その声に俺はビクッとなった。真里菜だ。・・・俺がゆっくり振り向く、そこには、驚いた表情の真里菜がいた。
「あきら・・・さん」
そう言って俺をじっと見つめる真里菜・・・その目は驚きで少し泳いでいた。俺は、早く逃げたくて仕方がなかった。
「どうした真里菜。戻ってきて」
そう質問したのは、陽太だった。真里菜もその声に陽太のほうを見て
「あ・・うん・・学校に忘れ物して・・」
「そうか・・・じゃぁ・・遅いし、待っとこうか?」
「やめてよ~恥ずかしいから~」
「そうか?あきらはどうする?」
そんな振り方をするな~!!!俺は心の中で叫んでいた。
「あ・・おれ?」
真里菜の方を見ると彼女は俺から目をそらした。
どうしたらいいんだ?
「お・・おれ・・いつものところによるから・・」
俺の言葉に、なんかため息をしたような感じの真里菜・・・彼女を見るとその目は寂しそうに下を向いていた。俺たちの様子を見ていた陽太、やれやれと言った顔をしていた。
「そうか・・」
そう言うと陽太は、俺の肩を組んで耳元でつぶやいた。
「お前・・しっかりしろよ・・・」
えっ?俺が陽太の言葉に驚いていると
「じゃぁな・・あきら・・真里菜はやく帰ってこいよ」
こういい残し陽太は右手を上げその場を去っていった。
取り残された俺と真里菜・・・
真里菜のほうを見ると真里菜はじっと俺の方を見ていた。そして、視線があった時
「「あ・・」」
俺の声と同時に真里菜の声が聞こえた。その声を聞いて再び俺はどうしたらいいのかわからなくなった。
そして、真里菜も黙り込んで俯いた。そして、チラチラと何度となく俺の方を見ていた。焦った俺は、何とかしないとと焦っているとあることを思い出した。そうだ忘れ物・・・
「真里菜・・忘れ物って?」
俺の言葉を聞いて、思い出したかのように慌てた真里菜
「あ・・・そうだった。」
そう言って慌てて学校の方へ走り出していった。
俺は真里菜の後姿を見送るのがやっとだった。