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バカ

あれから数日が過ぎ、いつもの日常が始まっていた。俺の気持ちをのぞいて、しかし、あの日から真里菜も俺のところに遊びに来ていない。そんなある日、登校途中の真里菜を見つけた。気がつくと俺は真里菜を見つめていた。ま・・真里菜だ・・・頼むから気付かないでくれ・・そう思っていると真里菜は俺のことに気付いていつものように近づいき挨拶をしてきた。


「あきらさん~!!おはよう!!」


「あ・・おはよう・・」


ふと真里菜の視線が俺と合った瞬間、思わず目をそらす俺・・・その行動に怒ったのか真里菜はぷくっと頬を膨らませた。そして上目使いで俺の顔をじっと見方と思うと足を思いっきり踏んだ。


「痛って!!」


そう叫んでうずくまる俺をおいて真里菜は友達の方へ走っていった。しばらくして、誰かが肩を叩いた。


「何やってんだ?あきら」


見上げると真里菜の兄、陽太が立っていた。


「陽太か・・」


立ち上がった俺に陽太がにやけた顔をしている。そして、俺の顔を指差し、ジーッと見ていた。


「なんだよ。」


「お前、真里菜と何かあったろ?」


「べ・・別に・・」


なんてこと言うんだ。俺は顔が少し暑くなってきた。や・・やばい・・俺が思わず目をそらしていると肩をぽんと叩いて、俺を置いて校舎に入って行った。




授業になって身が入らない俺、常に真里菜のことが頭から離れない。どうしたんだ・・・そう思っていると携帯が振動した。ポケットからそっと取り出すとメール着信になっていた。だれからだ?とよく見ると陽太から?ん?と陽太の方を見ると俺の方を見て、手でメール見ろって?んーー何々?


「あきら・・・顔に出すぎだぞ!!」


「えっ?」


驚いた俺は思わず大声を上げた。ふと周りを見ると全員が俺の方を注目している。やべーセンコーも見ているし、不適な笑みを浮かべて近づいてくるセンコー、やばい・・・と陽太を見ると無視しやがって。とセンコー目が合った。


「何か質問でもあるのかね、中田君?」


センコーはそう言って、めがねを一回持ち上げあたふたしている俺の机を見回し、開いている携帯を見つけ、それを手にした。


「これは何かな?中田君」


「あ・・いや・・」


センコーの顔には既に笑みはなく、怒りモード全開だった。


「中田!!!誰が授業中にメール見ていいって言った!!」





放課後、こってり1時間説教を食らった俺、校門に真里菜が立っていた。立ち止まりしばらく真里菜を見つめる俺、その時だった。一人の男子が真里菜に駆け寄っていった。しばらく話す二人、声をかけるタイミングを失った俺は、二人の横をスルーパスしようとした。俺に気付いた真里菜が食い下がる男子に


「ごめん、先約があるから」


そう言って、俺の腕をつかんだ。その光景を見た男子は肩を落とし俺たちをおいて去って行った。その男子を見て驚いた。今、振った奴ってたしか学校で女子から結構人気のある奴だった。


「真里菜?」


「何?あきらさん」


俺の言葉を聞いても手を離さない真里菜・・・しばらく俺は真里菜が掴んでいる手をじっと見て黙り込いた。すると、真里菜も気付いたのか、驚いて手を離し、俯きしばらくじっとしていた。


「帰ろうか?」


「うん。」


しばらく、会話がない俺たち・・・ただ・・黙って歩いていた。


何を考えているのだろうそう思っているとふと真里菜の言葉を思い出した。先約があるから・・


「真里菜?」


「なに?」


「先約って?」


しばらく俺の顔を見る真里菜・・・思い出したかのように


「あ・・・先約ね・・それが?」


「いや・・何かなと思って?」


「あきらさんとこでDVD見せてもらおうと思って。」


「えっ?」


「なに?」


「そ・・そんなこと初めて聞いたぞ。」


「いつものことじゃない・・」


「まあ・・そうだけど」


まずい・・このまじゃ・・・話すことがなくなる・・・


「じゃぁ・・いいわよね」


「まぁ・・・ところで」


「ところで?」


俺の一言に立ち止まった真里菜は俺の方を見た。


「さっきの奴って?」


「あ・・あの・・」


「結構、女子に人気ある奴だろう。」


「まぁ・・」


「付き合ってるんか?」


この一言に真里菜は足を止めた。俺が振り返ると両手で鞄を前に持ったまま、俯いて立ち尽くす真里菜の姿がそこにあった。しばらく、俯いて動こうとしない真里菜、かすかに震えているようにも見えた。


「本気で・・・そう思ってるの?」


「あ・・・いや・・・」


ま・・まずい・・変なこと思わず言ってしまった。そう後悔した俺だがすでに遅かった。




バチーン!!




俺の左の頬に大きな音と悲しい痛みが襲ってきた。左手で頬を押さえ真里菜を見ると目には涙をためていた。


「バカ!!」


そう叫んで真里菜は走り去っていった。

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