表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヒトヒラノ雪

作者: 琴凪 蒼

僕の愛が君を苦しめる。

そう分かっていたのに、僕はこの手を離す事が出来なかった。

例え誰に認められなくても、二人なら生きていけると思っていた。

君を失う事になるなんて知らずに―――。



神様――。

神よ、もしいるのなら僕の命を彼女に与えて下さい。

罪を犯したのは僕です。

彼女を惑わせたのも僕の罪です。

その咎はすべて僕が受けるから…だからどうか彼女を、助けて下さい――。

白い雪がヒラヒラと舞い落ちる。

全ての罪を隠すように、僕の哀しみを凍らせるように。

今、僕の腕に眠るように逝る君に降り積もって行く。

どうして涙は出ないのか、心は凍りつき目の前にあるのは白く染まった世界。

僕が望んだ世界じゃないのに、君が居ない世界なんてあったって仕方ないのに、

それでも、君は微笑むんだね。


―泣かないで…―


最期の言葉が耳に残る。

泣いていたのは君の方。残される痛みも、残して行く痛みも全てを受け止めて君はその小さな身体で僕を包んでくれた。

甘い刻を重ねて、僕らは一つになったけど…君は僕を置いて逝くんだね。

一片の雪が君の頬に落ちる。まるでもう流れる事のない君の涙のように…。



―愛してる…―


今はもう届かない君に、せめてものハナムケになればいい。

僕もすぐに逝くから――。

例えココではない世界に落ちても、君を一人にはしないから。

僕が咎を背負うから――…どうかもう一度、微笑んで…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ