1章-2 ぽんぽこ
揺るがなかった脳内ネタを昇華
ハッと起き上がると、見知らぬ木造ログハウス部屋で目が覚めた。いつの間にか寝ていたようである。
ベッドの下にろーくんがスヤスヤと寝息を立てていた。おそらく影人が私を運んだのだろう。お手数をおかけした。
ろーくん現世で滅茶苦茶こき使われて召されたのに、生まれ変わってもこんなに働かせてすみません。私も何かお手伝い出来るようになりたいです。等と言う思考もまた鍛え上げられた社畜精神なのだろうか。
「腐っても社畜にされると思考が社畜にされてしまうのか、悲しき生き物」
等と思わず漏れ出る。誰も職場のひとたちが居ないので漏れても問題はない。言葉を漏らさないとやってられないのだ。
ふと足元のろーくんを眺めていると、ろーくんの首輪のどんぐりが輝き出し……
「ぽんぽこお〜」
間の抜けた声と同時に、もこもこの毛玉が現れた。
「たぬ?」
思わず変な声が出てしまった。
「たぬたぬ」
言葉を理解している。こやつ、ただの毛玉ではない。怪しさMAX!!
毛玉。どう見ても日本古来の原生生物タヌキである。何故、異世界にタヌキが。
「ふぁ〜良く寝たぁ〜」
猫伸びしながら起床のろーくんがタイミングよく覚醒。前日の労働お疲れ様です。
「ろーくん起床早々に申し訳ないのですが、ろーくんの首輪からタヌキが出てきました。天界関係者ですか?」
パチクリパチクリ二度見するろーくん。
「あ、社畜神さま〜」
聞き捨てならない言葉が聞こえたが、空耳だろうか?
「今、なんと?」
「社畜神さまだよ〜」
そのたぬたぬが!?
「驚かせてすまない、どんぐり顕現分体のタヌキボディだ。いや、実は一緒に冒険したくて……」
神の威厳が無いです。社畜神さま。
うるうるお目々で、ぽんぽこ状態で神デスヨポーズ取られても反応に困りますうう。
ぽんぽこしてやろうか。この神さま。
開き直る自分がそこにいた。腐っても社畜疲れの面子である、はっちゃけたかったんですね。
「現在の上司である社畜神さまにそんな事されたら、従うしか無いじゃないですか」
やれやれするしかないのである。
思考が、社会に毒されているが、一度染まると直らないのよね。凝り固まった考えって、困りものだわ。
「一緒に行っていいのか!?」
古のガタッの動作たぬ。踊り出しそうである。たぬなので威厳が無いです……
「やったー社畜神さまとお出かけ出来るー!!」
ジャンプして喜ぶモサモサ猫。こうしてアニマルに囲まれながら旅する私がうまれたのであった。
「ところで、社畜神さま天界のお仕事ほっぽり出して大丈夫何ですか?」
簡易的なテーブルまでろーくんが用意してくれていたのでその辺で採れた食用可能なリンゴに似た果実を朝食にしたところである。
「今のタヌキボディは分体なので、本体はきちんと天界にあるので問題ない。帰る時はろーくんの首輪にタヌキボディが吸収される」
たぬの前足で器用に果実を持って美味しそうに食事をする神。行儀よく座っている、流石神。
「便利なんですね」
「なにせこの分体久々に顕現させるので、試運転もかねてお邪魔を」
急に出てきてすまんのと神。驚いたけどさ。
「普段は僕が社畜神さまの代わりに天界外のお仕事してるからね〜」
草玉を転がしながら転がるろーくん。ゴロゴロ言ってる。ちょっと遊びたくなって頭の中で猫じゃらしを思い浮かべてみたらポンッ! と猫じゃらしが出てきたので、ろーくんの前でこちょこちょこちょこちょ……あ、我慢出来ないみたい、お御足がお御足が右往左往。次は猫じゃらし上下にこちょこちょこちょこちょ……ろーくんの身体が右往左往。
「猫ばかりずるい」
神が後ろで不満気に。遊びたかったですか。放置しちゃってすみません社畜神さま。
「タヌキって一般的に何して遊ぶんですか?」
「とりあえず葉っぱのせます」
何にも考えていなかったようである。更に化けるのか社畜神さま。
「ぽんぽこぉおお!!」
神の威厳も何も無いのである!!
ぼふっっと煙が出て……
——神は、信楽焼きになった。
は!?
「しゃ、シャレ?」
思わずドン引きしてしまうのであった。唐突すぎる。
『置物です』
信楽焼きから声が響く。最早意味不明である。
「社畜神さま、そんな事してないで、日向ぼっこしようよ〜」
ろーくんが信楽焼きを肉球でていていする。くすぐったいのか信楽焼きが震えぼふっっ——と再び煙が。
「ろーくん止めないか、ビックリするだろう」
器用に腕組みするファンシーなたぬたぬ。
「天気良いから日向ぼっこしましょうよ〜社畜神さま〜」
「仕方がないな、行くか! ろーくん! 日向ぼっこだ!!」
猫とタヌキが外に向かって駆け出す。
仕方がないので私も日向ぼっこしようと思う。何なんだ、この状況。
次回更新は12月頃を予定しています




