第七幕:クソッタレの詩は吸血命令
オレの仕事はメッセンジャーだった。
蜘蛛ーー神から言われた通りのことを伝える。
しかも詩を使ってだ。
オレは彼らの前で歌って、小銭をもらう。
昼の街の中を足を引きずりながら。
周りの視線を集めてた。
オレはよく分からない事を覚えさせられて、それを即興で歌にする。
たとえば、こうだ。
子豚が三匹
ブーフーブー
母の助言を
聞かなくて
上の二匹の兄さんら
市場で丸焼き
ごちそうさま
最後の一匹
どうすれば?
そして歌が終わると、誰かから呼び出されて次の歌を頼まれる
毎日だ!
ウンザリするーー。
これは吟遊詩人ってものだと知ったのはーーだいぶ後になってだ。
オレはその金を女に渡して、
女の部屋で過ごすんだ。
女は好きだ。
特に酒を覚えた後はーー
彼女らはオレに尽くしてくれた。
転々と部屋に上がり込み、時間を過ごした。
蜘蛛の屋敷には時々は戻らなきゃならなかった。
ーー女は好きだ。
何年経っただろうか。
オレは変わらず歌ってた。
周りはオレを不気味がるようになった。
誰かが、オレが吸血鬼だといった。
オレはそれを歌で返した。
吸血鬼。
夜に出られちゃ困るよな
冷たい肌をしてるのに
温かい血を求めてる
酒場の女は気をつけな
ガブっといくぜ
ボインちゃん
冷たい身体を温めて
誰を温めたいのやら?
オレが奴らの仲間なら
夜に出歩く、今夜でも
誰が言ったか吸血鬼
お前が言ったか、このマヌケ!
周りがどっと笑うが、
誰もがオレを不気味がった。
オレは夜に出歩かなきゃいけない。
長く生きすぎたのかもな。
ある時オレは組織から、
嫌な仕事を任された。
初めてだった。
連中にーースティックを渡されて、
それを使わなきゃいけない日、
その夜にオレは女の胸の上で泣いた。
ーーオレの歌は、アレだった。
(こうして、第七幕はスティックで幕を閉じる。)




