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赤髪のヨナ〜救いのない蜘蛛の息子〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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5/7

第五幕:クソッタレな蜘蛛の教育

「私を? 気持ち良く? あいにく、君の知っている連中と一緒にされるだけで、気分が悪くなる。触るなーー」

とある屋敷の居間。暖炉が部屋を温かくしているのに、効果がなかった。


安楽椅子に座って指を忙しなく動かしている蜘蛛は、冷たさを保ったまま続けた。

「最低限の言葉と、足さえあればいいーー」そして、彼は近くに置いてある鈴を鳴らした。執事を呼んだんだ。

「はい、旦那さまーー」と彼は部屋に優雅に入ってきた。

灰色の短髪にふくよかな顔に眼鏡をつけた小柄な老人だった。

「彼の足を診てやってくれーー」と蜘蛛は命じた。

執事は医者としての知識を持っていた。オレは足を触られた。折られた方の足だ。腫れは引いたが、捻れてるあしだ。

「ああ、この足は治りませんな。一生このままでしょうな」

ーーオレは泣きたくなった。

「歩けるならいいさ。急ぐんなら、走らせるよりも、馬車を使わせればいいか」蜘蛛はオレに言い聞かせるというよりも、自分に言い聞かせているみたいだった。


「どうせ、字も書けない。教育もない。言葉も下品な単語しか覚えさせられてないんだろ。クソめ。手間をかけさせる」

ーー彼は執事にオレの教育を任せた。


その日から学ぶことが、オレの価値の証明になった。


オレ以外の子と一緒になって学んだ。

でも互いに言葉を交わす、なんてない。ーーそれは許されない。

そして、ルールは変わる。

ーー感じ取らなきゃいけなかった。

最も大事なのは、話す時と話さない時だ。

ただのおしゃべりは、消された。

ーーある日いないものとされた。


さて......文字を覚えて、悪くない事があった。ーー本が読めるようになった事だ。

お袋のことなんざ、屁とも思わない。

だけど、本は別だ。感謝してる。

本を読む、ーー読んでいるフリさえしてたら、評価された。


(こうして、第五幕はドンキホーテで幕を閉じる。)

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