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赤髪のヨナ〜救いのない蜘蛛の息子〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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2/7

第二幕:クソッタレと母の本

よお、オレ。人間の出会いについて、考えたことはあるか?

本を読むみたいに、好きなところを開かせて、好きなだけ腰を動かす。

そういう簡単な関係なら、オレは楽に生きれたかもしれないな。

なあ、何を考えてるんだ?


オレは今日、大事な友をうしなった。

本みたいなヤツだった。

自分のやる事を全部見てきたヤツだった。そいつは偽善は大嫌い。

オレも偽善はキライだが、それでもやらなきゃ耐えられない。

オレがこうなったのは、どこからだろう。

あのクソッタレがオレに稼ぎ方を教えた時か?

あの時、もっと世界が見えてたら、

オレは自分を閉ざしたか?

いいや、やっぱり同じだろ。

オレは生まれる場所を間違えただけ。

神さまの指さした先が、ゴミダメだっただけさ。


あの頃のことは覚えてる。

ドンキホーテの本が一冊。

これがオレの宝物。

オレを置いて、男と逃げたお袋の唯一のこした本なんだ。


親父はクソッタレ。

オレには字なんて必要ない。

そう決めつけて、客を呼ぶーー。


それからの日々なんて、反吐が出た。

タンとクソがかき出され、遠慮、無遠慮なんのその。

愛を囁く次なんて、

張り手が罵声かわからない。

紳士がケモノになるなんて。

少しもおかしな話じゃない。

口を開いた時なんか、

別の用途に使われた。

笑うなら笑え。これは喜劇だ。

最後なんて、オレには決められない。

クソッタレは、水桶で自分で洗えとわめき立て、オレの尻を蹴り上げた。


毎日、鏡を見てて思ってた。

いつかは地獄はマシになる。

だって男は強くなる。

ヒゲも生えてくるだろう。

筋肉もつくさ、たっぷりと。

毎日、食わせてもらえない。

それでも、いずれは男になる。


だけど、現実クソみたい。

オレの身体は成長止めた。

声は高く、天使の声。

ヤツら、無遠慮うたわせる。


青い鳥は鳥かごに

お前は羽ばたく羽根がある

機会を逃さず伏せていろ

きっと逃れるチャンスがあった

遠い外国目指すんだ

空の先には夢がある

オレには二本の足がある


それでもーー

逃げ出すなんてムダな事。

足は片方ーー手折られる

バラの茎さ、まったくさ。


ご容赦ください、旦那さま!

ほんの情けをくださいな!

涙を見せてもムダな事。


あの時、オレはーー

あの時オレは何を選べばよかったか?


そのまま本を閉じられたら、

きっと楽になれただろうーー。


だけど、偶然に掴んでしまったんだ。

逃げ出す時に、蜘蛛の糸をーー。


(こうして、第二幕は蜘蛛の糸で幕を閉じる。)


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