第一幕:唄う悪党の少年
男の容姿は髪は赤く、
手入れもされずボサボサだった。
鋭い眼差しを持ち、目の色は金色だ。
顔にはそばかすがあり、
幼さを感じさせた。
身長が低いので、
少年だと言われたら納得した。
華奢な身体を黒いコートで包み、
片足はびっこをひいてたが、俊敏そうな動きをしそうだった。
片手にはスティックを掴んでいた。
これは、暴力の象徴。
ステッキとは違い、彼はこれには寄りかからない。絶対にーー。
彼は今は、黒コートを脱ぎ半裸で女のそばにいた。
酒場の奥のプライベートルーム。
ベッドとテーブル、至る所に空の酒瓶が転がっている。
部屋の外は吐き気を誘う臭いが漂うが、この部屋はマシだった。
男はため息を吐いた。
隣の女が彼の方を向いてたずねた。
「ひどい子ね。こんな女を抱いたから、ため息をつくの?」と彼女は悲しそうに微笑んだ。
「黙れ。好きにさせてろーー」と男は呟いた。
そして、彼は歌い出した。
川の流れは時なんだと
海の大きさ変えられぬ
時を戻せとわめいても
やり直しができぬのさ
どこからやり直す?
生まれる前に
神にいう?
お願いやめて
イヤなんだ
神にマヌケな神頼み
過去がなんだというんだろ
命を惜しめ、バカ男
彼は、自分の過去を振り返ってみた。
ちょっとした慰みだったーー。
(こうして、第一幕は歌で幕を閉じる。)




