四
短い
「貴様、何をしている」
「一般スキルのお勉強中~」
お城に来て三日経ったのにまだ警戒されてるなぁ。マァ当たり前か、一応最高戦力のチート勇者様だし。これで警戒解かれてたら裏切ったの失敗したかと思っちゃう。
「その本は?」
「図書館から借りてきた。あれ、城内の施設なら好きに入って良いんだよね?」
「あぁ、必要以上に貴様の行動を制限する気はない。…間取り図も手に入れられた以上、止める術もないしな」
ア、魔王城の間取り図もパチってんのバレてーら。
「まぁまぁ、うん。『転移』で基本的には何でもできるけど、どうせなら便利系のスキルとか、後は魔法的なやつもやってみたいなーって。オタクのロマンだし」
「何を言ってるか分からんが…ならば私が教えようか?」
え?
「暇なの?」
「暇なわけあるか!貴様のような者の相手を部下に任せるわけにはいかないだけだ!」
さっすが王様、責任感ある~。
「じゃ、よろしく」
「何から知りたいのだ?」
「生活系かなぁ。『ウォッシュ』とかこれ一つでお風呂要らずに洗濯機要らず!いやぁ、異世界って良いねぇ」
「洗濯機…?」
「あー、要は服を洗う道具。深い意味はないから気にしないで。それより早く!スキルってどうやって覚えんの?」
「一般スキルは声に出して行使する。マァ、簡単なスキルでも何度かやって感覚を掴まねばならんから、そこはセンスが問われ…」
「『ウォッシュ』…ア、できた」
「は…?」
勇者って習得チートもあるのか??
その後も湯水のごとくスキルを覚え、最終的にはバカみたいな規模と威力の攻撃スキルまで取得した。
「私はこれ覚えるのに五年掛かったのに…」
なんかごめん。