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悲鳴がそこかしこで上がっていた。いつしか悲鳴は止んだ。


炎がパチパチと弾ける音以外、シンと静まり返った王国。人っ子一人いない国は、もはや国ではなくなった。


「いやぁ、革命とかじゃなしに国が滅ぶってあるんだねぇ。ガッツリ片棒担いだし、貴重な体験だなぁ」


「…」


「あ、ハハ、見てエリーちゃん。原型とどめてる死体ある。珍し~。でも顔はぐちゃぐちゃだ。なーんだ、じゃあいいや」


「…」


「配下くんたちから連絡は来てない感じ?マァ、攻略法があるからってすぐ片付くもんじゃないか」


「…まだ連絡は来ていない。戦闘中に気が散るのも良くないから、私からも何も言ってない」


お、やっと喋ってくれた。話聞いてないのかと。


「…なぁ、ユウキ」


「なぁに?エリーちゃん」


「私たちは…やったんだな」


目的語がないなぁ。マァ分かるけど。なんてったって、俺たちは親友だからね!


「うん、やったよ。やり遂げた」


「あぁ、ははっ、そうか、そうか…!」


悲願が叶ったとばかりにエリーちゃんは笑い出す。


「あぁ、見ておりますか、父上、兄上…!」


空を見上げたエリーちゃんの横顔は、最初見たあのときの瞳と同じくらいきれいだった。


「ねぇ、エリーちゃん」


「何だ」


「強い君も最高だけど、ここには俺と君しかいないからさ」


頭を撫でて、うつむかせる。身内に泣き顔は見られたくないもんね。


「頑張ったね、エリーちゃん」


「──うぁ、あぁ…!!」


感極まって泣き出してしまった。しょうがないなぁ、エリーちゃんは。特別に胸を貸してあげよう。身体を震わせて泣くエリーちゃんを抱き締めると、そっと手を回してきた。全く、かわいいんだから。


「…ユウキ、ありがとう」


「んー?」


「ありがとう、本当に、ありがとう。私の味方になってくれて!お前がいなければ、きっとなし得なかった!ありがとう…!!」


「あはは、どういたしまして」


感謝の言葉を惜しまないエリーちゃんは素敵な人だ。


きれいで、かわいくて、素敵なエリーちゃん。


君の一番が見たいなぁ。


ね、良いでしょ?エリーちゃん。


「──ぁ…?」


腹に大穴が空いて、膝から崩れ落ちたエリーちゃんの身体を支えず、離して上から眺める。


「が、ぁ?あ…」


お、動いてる。すごいね、この状態でまだ生きれるんだ。


「ゆぅ…き……」


「…ふふっ」


エリーちゃん、その顔すっごいかわいいね。


「ど…して…?」


最初に言ったじゃん。


「俺、絶望顔が一番大好きなんだよ♡」

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